[39歳の]ピアニスト ネタバレ 感想[純愛物語]

ピアニスト (字幕版)

あらすじ

ウィーンの名門音楽院でピアノ教師として働く39歳のエリカは、今までずっと過干渉な母親の監視下で生きてきた。母親に対して愛憎入り混じった感情を抱きつつも、突き放せずにいる。ファッションや恋愛などとは無縁の人生を送らざるを得ず、その欲求不満を晴らすかのように倒錯した性的趣味を密かに持つようになったエリカ。そんな彼女の前に若い学生のワルターが現れ、彼女に求愛してくる。エリカは突然の出来事に警戒し、彼を拒絶するが、ワルターはあきらめず、エリカが勤める音楽院に編入までしてくる。それでも彼に対して厳しい態度を崩さないエリカだが、ある時、化粧室で熱烈にキスをされたのをきっかけに、自らの倒錯した性的趣味をワルターで満たそうとする。ところが、あまりの倒錯した要求にワルターは幻滅し、エリカに侮蔑の言葉をぶつけて立ち去る。エリカはショックを受けるが、後日になって、深夜にエリカの家に突然やって来たワルターは、エリカの母親を部屋に閉じ込め、その部屋の前で不本意ながらも「エリカの希望通りに」エリカを殴りつけて犯す。ことを終えたワルターは「互いに秘密にしておこう」と言い残して帰って行く。翌日、顔を腫らしたエリカはナイフをバッグに忍ばせて自分が代理で演奏するコンサート会場にやって来る。ロビーでワルターがやって来るのを1人で待っていたエリカだったが、ワルターが何事もなかったかのように明るく爽やかにエリカに挨拶し、会場に入って行くのを見送ると、忍ばせていたナイフで左胸を刺し、血を流しながら街中に歩み出て行く。(wikipediaより)

予告

70点

少女(中年)の純愛物語

のりたまが観たいと発掘してきた映画の一つなんですけれども、監督を観た瞬間に僕はこう思いました「あぁ、ハネケか・・・また不快な思いをしまくる映画なのかな~」と。

ってなんだかミヒャエル・ハネケ作品を知り尽くしているかのような口ぶりですが、実はハネケ作品は『ファニー・ゲーム USA』しか観てないんですけどね。

でもあんなもん観せられたらそりゃ警戒しますって・・・(‘A`)

そんな観たいような観たくないようなハネケの『ピアニスト』ですが、結論から言えば僕は結構好きですこの作品。

ファニー・ゲームのように明らかに視聴者を不快にさせてやんよって感じもそこまで強くないし、伝えたいメッセージはイマイチよくわからんが絵的な美しさや音楽などグッと惹かれるものはあったんですよね。

巷ではハードと言われてまている作品ですが、胸くそ悪い展開はそこまでないので個人的にはハネケ入門編にいいのでは?なんて思います(他の作品観てなくてアレですが・・・)

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ザックリとストーリー紹介

・母親によって人の欲を徹底的に抑圧され、ピアニストとして管理されてきたエリカ。

・そんなエリカはある日自分に行為を抱く青年ワルターと出会う。

・最初はワルターを遠ざけようとするエリカだったが、ワルターの猛アタックによって本心を打ち明けることを決意。

・しかしエリカの抱く恋心は❝とてつもなくアブノーマル❞でワルターに引かれてしまう。

・見栄も何もかもかなぐり捨ててワルターに擦り寄るエリカだったが、お互いの気持が繋がるかと思われたその時エリカは嘔吐してしまった。

・またもや繋がり損なってしまい諦め気味のエリカの自宅にワルターが訪問。

・ワルターはエリカの望んでいた❝アブノーマルなプレイ❞を強行する。

・だが自ら望んでいたもののはずなのにエリカは何も感じてはおらず、虚無感しかなかった

・ワルターはエリカの考えていることが理解できず、今度こそ恋人としての関係を諦め別れを告げる。

・後日、ピアノの発表会に包丁を持っていたエリカは、まるで他人のように挨拶ワルターを見届けた後に自分の肩を包丁で刺す。

・まるで憑き物でも落ちたかのような軽い足取りでピアノ発表会を後にしていくエリカでEND

恋に恋する乙女エリカ(39歳)

(鉄仮面だけどもちょっとした事で嫉妬もする乙女なのです)

この作品ってメチャクチャ賛否両論なんですよね。

実際のりたまも「二度と観たくない、面白くない」と言っていまし、同じような意見はネット上でも結構ありました。

でもその反対に「感動した!これは名作だ!」と言う人もかなりの数います。

僕はどちらかと言えばこの映画は面白いと思える後者なんですけれども、それはエリカという人物の設定に心惹かれたからです。

恐らくこの映画の解釈って人それぞれ結構違いが生じると思うんですよ。

そんで、僕のエリカのイメージはズバリ純愛少女

エリカってえっち~なお店に行ったり、駐車場で変態チックな事をしたり、アブノーマルなプレイをワルターに迫ってたじゃないですか。

アレって素直に見れば親に抑圧されて変態になってしまった!って風に見えると思うんですよ、実際僕も最初はそう思ってたんですよね。

でも映画を観ていくと何かそれじゃ納得いかないというか違う気がしてくるんですね。

そんで終盤まで観て思ったんですよ。

「あ、エリカは抑圧されて変態になったんじゃない。恋も愛も知らないで大人になったからやり方を知らないだけなんだ」と。

つまり、ちょっとアブノーマルなエリカの性癖ってアレは彼女の本当の姿じゃないんですよ。

ただ恋も性も知らずに少し外れた所からステップアップしてしまっただけなんです。

例えばですよ。

無垢な少女がいきなりアブノーマルな恋や性を先に知ったとしたらどうでしょう?

少女にとってはそれが恋い焦がれる理想の恋愛のありかたになるじゃないですか。

そんでそれは別に珍しい話でもなんでもないんですよね。

だってエリカを見れば分かる通り、母親によってとことん他者や俗物から遠ざけられていたんですもの、そりゃ変な所から知識を吸収してしまってそれが彼女の❝常識❞になってしまったとしてもおかしくないんです。

まあ、そういう意味では母親の影響はとても大きいんですけどね。

ただ重要なのはエリカは真性の変態ではなく、恋も愛も性も知らずに育って大人になったから認識がズレてしまっていただけなんです。

そんな風にこの映画を観ると子供が恋をして成長していくハートフルな物語にすら見えてくるんですよね。

ワルターと結ばれなかったのは幼さゆえ

(世の9割以上の男はエリカの手紙を読んだらこんな顔になるでしょう)

ワルターは序盤から中盤まではその爽やかなルックスも相まってこの映画の清涼剤と言えました。

最初はそんなワルターにツンツンだったエリカ(こういう所も少女の純愛視点で見ると可愛い)もドン引きされてからは人が変わったかのようにワルターにデレデレになるんですね。

でもワルターの望む事を叶えようとしたら今度はエリカは嘔吐してしまい、逆にワルターがエリカの望むことをしたら今度はエリカが冷めてしまう。

この行き違いは何だったのでしょうか?

これはエリカが恋に恋している乙女さんだったからなのです。

最初はワルターに自分の望む性を押し付けてしまい引かれてしまったじゃないですか。

でもその後すぐに「ヤダヤダヤダ、ワルターが好きだから彼の言うことを聞いて好かれたい!」ってなったわけですよね。

だけどいざ行為に及んだ時に嘔吐してしまったのは「こんなのは望んではいない」と本能的にエリカは感じてたんです。

そしてワルターがエリカの当初の望みを叶える頃には、もうエリカは完全に冷めきっちゃってるんですよね。

「私が描いた理想の恋愛」だなんて恋に恋してるようじゃ、そりゃ失恋もするってもんです。

ただエリカは普通の少女が経験する恋愛をちょっとだけアブノーマルな形で経験しているだけなんですよね~。

母親とピアノとエリカ

ではエリカにとって母親とはなんだったのか?ピアノとはなんだったのか?

僕はここがもっとも頭を悩ませました。

母親とエリカが共依存だというのは間違いないとは思うんですよ、ケンカ→原因を解決せずに仲直りを繰り返しているわけですからね。

エリカにとっては母親とピアノが自分の見知った世界なわけで、そんな世界しか知らなければ人間はそれに寄生し依存するものなんですよね。

でもエリカもいい年になって自我も強くなり、恋にも性にも興味が出てきて可愛い洋服だって着たくなっちゃったわけですよ。

そう考えたらエリカにとっての母親とピアノって縛り付ける鎖でしかなかったのかもしれません。

そこにワルターという外界の生物に大きな刺激を受け、様々な経験をして殻を破り人として成長したエリカは最後にピアノと母親への依存をやめたんだと思います。

包丁で胸を刺したエリカのあの鬼のような表情は39年間失っていた感情を取り戻した証・・・って思うとなんだか素敵ですよね。

でもハネケ作品って・・・

とま~自分に都合のいいように妄想してみたはいいけれどもこの映画の監督ってハネケなんですよね。

ハネケ作品を観た人が口を揃えて言う❝捻くれ者ハネケ❞が果たして僕の妄想したような純愛を撮るかっていうと・・・激しく疑問ですな。

なんでま~こういった解釈をする人もおるよん!って程度に感想を読んでいただかれば幸いです(鉄壁の守り)

まとめ

観る人によって色んな解釈ができそうなとてもいい映画でした。

のりたまも最初は二度と観るかー!クソ映画!とか息巻いていたのに、数日後にはう~ん以外と悪くないかもしれないとか言ってましたからね。

賛否両論ではあるものの考察のしがいもあるし、不思議な魅力を放つ作品なのは間違いないのでしょう。

何かとグロいとか生々しいとかって聞きますけれども、個人的には純愛街道まっしぐらなエリカが可愛くて仕方なかったです。

ちなみにイザベル・ユペールの最新作『エル』はあの変態ポール・ヴァーホーヴェン作品なのでイザベル・ユペールにこの映画でハマった人は観ましょう!

 

ブチギレ金剛くんになること間違い無し。

ピアニストと良いファニー・ゲームと言い、ぶつ切りエンドはハネケ監督の趣味なのかな?

小説があるそうな、はよ映画を観に行かなければ。

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4 Responses to “[39歳の]ピアニスト ネタバレ 感想[純愛物語]”

  1. より:

    ゆでたまさん、こんにちは!

    ハネケ監督、私は本家『ファニー・ゲーム』を映画館で観たというトラウマ的な経験があったので(笑)、その後は全てマイルドに感じますねえ~。ハネケ作品でゆでたまさんになら『ベニーズ・ビデオ』をお勧めします。ストーリーが分かり易いし、ゆでたまさんの好みに合うと思いますよ!
    この『ピアニスト』はカンヌで上映された時、気分が悪くなった、セックスが長すぎると途中で退出する人が続出したという話があります。私も「ハネケ悪趣味すぎるわ!」ってうんざりしましたよ。でもゆでたまさんの解釈なら、分かりますね~。普通だったら成長期に経験する、好きな人に出会って恋をしてデートして…という過程を、母親によって奪われてたわけですから、エリカが一足飛びに穴埋めするには、あんな極端な性癖になるしかなかったのでしょう。(日本で言うなら親が厳しく育てられた真面目な人が、売春やるようなものでしょうか。実際そういう女性いますからね。)しかし恋に恋していた状態から覚めると、ワルターに執着する必要が無くなる、ラストで自分を刺したのは、過去の自分との決別の儀式、と考えると納得がいきます。
    親に厳しく育てられた子供の話は、ヨルゴス・ランディモス監督の『籠の中の乙女』がありますね。良い映画と思いますが、これもかなりグロい内容なのでのりたまさんと一緒に見ることはお勧めしません(笑)。
    『ELLE』良かったですね。賛否両論あるようですが、私は好きです。

    • ゆでたま より:

      雪さん、こんにちは~(^o^)

      『ファニー・ゲーム』を映画館で観るとかおっそろしいトラウマですね(ーー;)
      僕が映画館で観てたらハネケ作品には二度と手を出さなくなっていたかも・・・。
      『ベニーズ・ビデオ』の予告っぽいの観たけど豚のシーンだけで「あ、これ精神に余裕ないと駄目なやつだ」と悟りました。
      でもあらすじを読んでみると雪さんのおっしゃる通り僕好みっぽいですね!余裕のある時に観てみます。
      ただ昨日一昨日と『ボーイズ・ドント・クライ』『ミリオンダラー・ベイビー』とヒラリー・スワンク祭りをした直後になるので少し間が空くとは思いますが・・・。
      『ピアニスト』の性描写って生々しくてエグいですからね、普通の感性というか真正面から見ると結構キツイですよね。
      そうなんですよ、エリカを経験不足の少女としてみると・・・あら不思議!ハネケ作品特有の生臭さがとれた一途で乙女な作品に早変わりできちゃうんです。

      『カゴの中の乙女』は僕も観ようと思ってたんですよね~。
      のりたまは最近グロ耐性上がってきたので多分大丈夫ですよ!どちらかと言うと『グリーンマイル』とか『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のようなド直球で心を抉る系の方が苦手ですね(しばらく立ち直れなくなる)
      『ELLE』良かったんですか!ポール・ヴァーホーヴェン作品は好きなので、こりゃ観るのが楽しみです!

  2. 中村 より:

    今晩は中村です。

    ハネケの映画はやはりファニーゲームの印象が強いですが、いろいろ観ていくと家族に関するテーマを強く意識している様な印象を受けますね。この「ピアニスト」も母と娘という家族のあり方を取り入れてますし、雪さんが挙げている「ベニーズ・ビデオ」も息子と両親の関係性を問うています。他にも「セブンス・コンチネント」や「白いリボン」なんかもそうですね。
    この辺りはデンマークのスサンネ・ビア(ある愛の風景など)の映画などもそうなんですが、この様な映画が凄く好きなので見つけるたびに観てしまいます。あ、因みに私は「セブンス・コンチネント」を是非お勧めします。

    「籠の中の乙女」は私も観ましたがまあなんとも気持ち悪い映画でしたね…。いや私は結構好きなんですけどね。
    父親の言う事と性行為の相手だけが外の世界の全てという教育を受けるのですが、これを更に現実的な設定で描いたような「裸足の季節」という映画があります。こちらもなかなか良い映画でしたよ。

    また、割と最近の映画で「ハングリー・ハーツ」という映画がありますが、こちらは自分の育て方だけが正しいと思い込んで赤子を育てる母親とそれを止めようとする父親の話ですが、これも、上記の映画のテーマと似ている気がします。実際に同じような事件が起こっているのでとても怖い映画です。

    「ボーイズ・ドント・クライ」と「ミリオンダラー・ベイビー」とはなかなかヘビーな攻め方をしますね笑
    あれはもう二度と観たくなかったのでDVDを買いました(ん?)

    とても好きなジャンルの話になっていたのでつい饒舌になった上本題のピアニスト全く関係ない話になりましたがこれで失礼します。

    • ゆでたま より:

      中村さん、こんばんは!

      あ、言われてみると僕の知っている限りでも家族をテーマにした作品ばかりですね。
      「セブンス・コンチネント」もなんだか不穏な空気の映画ですな・・・。
      うむむ、しかしオススメがありすぎてこりゃハネケ祭りをしなければいかん予感。

      おぉ、中村さんですら気持ち悪い映画って言うってことは相当なんでしょうな、これはむしろ期待感あがりますね~。
      次観る作品はとりあえず「籠の中の少女」にしようかな!ハネケ作品はまた心が癒えてからにしないと(ーー;)
      でも子育て系の作品って大好きなんだけれども、心くだかれそうで・・・及び腰になるんですよね。
      最近邦画で『子宮に沈める』って映画も育児系で見たいけれど見れてないんですよ(怖くて)

      ヒラリー・スワンクで面白いやつが観たいとのりたまが、のたまったのでヘビーブロウ食らわしてやりました(^皿^)
      その気持ちわかります、二度と観ない→でも大好きだから所有だけしておこう・・・ってなりますよね。
      いえいえ、今回もまた貴重なお話とオススメ映画をありがとうございます(^o^)

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