[猟奇的ラブコメ]ヒメアノ~ル ネタバレ 感想[スラッシャー]

ヒメアノ~ル [レンタル落ち]

あらすじ

「行け!稲中卓球部」「ヒミズ」の古谷実による同名コミックを、「V6」の森田剛主演で実写映画化。森田が、次々と殺人を重ねていく主人公の快楽殺人犯・森田正一役を演じ、「純喫茶磯辺」「銀の匙 Silver Spoon」などを手がけた吉田恵輔監督がメガホンをとった。平凡な毎日に焦りを感じながら、ビルの清掃のパートタイマーとして働いている岡田は、同僚の安藤から思いを寄せるカフェの店員ユカとの恋のキューピッド役を頼まれる。ユカが働くカフェで、高校時代に過酷ないじめに遭っていた同級生の森田正一と再会する岡田だったが、ユカから彼女が森田にストーキングをされている事実を知らされる。岡田役を濱田岳、ユカ役を佐津川愛美、安藤役をムロツヨシがそれぞれ演じる。(映画.comより)

予告

 

75点

ラブコメとサイコキラーの共演

前々から気にはなってて最近コメント欄の方で話題に出たのでようやく観ることにした今作。

んで開始3分であることに気づいたんです、それは・・・「あ、これの漫画見たことあるわ( ゚д゚ )」

多分いつかどっかで1巻だけ読んでたんだとおもいます、思い出せないけども。。。

いや~、一度読んだ漫画って忘れない方なんですけど、流石に1巻だけだったもんだからすっかり記憶から抜け落ちてましたね。

さて、どこかしか縁を感じながら今作を最後まで観た感想としましては「普通に面白かった!・・・がもう一塩ほしかった!」って感じです。

序盤から笑えて面白いし、中盤からの森田の殺戮道中も楽しかったんですけど、今ひとつ足りないという気持ちもあったんですよね。

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ザックリとストーリー紹介

・清掃員のアルバイトをしている岡田は先輩の安藤に連れられ、安藤が惚れているユカという女の子のいるカフェへといく。

・そこでたまたま岡田は高校の同級生だった森田と出会い、森田がユカをストーカーしている疑惑もかねて森田と連絡先を交換する。

・また安藤の頼みで岡田がユカに彼氏がいないかどうかを確認したり、ストーカー被害から守ったりしていく内にユカは岡田に惚れてしまう。

・最初は安藤に内緒で付き合う二人だが、隠しきれず安藤に付き合っていることを言って幸せの絶頂な岡田くん。

・そこで森田のPartへと移り、幸せ絶頂な岡田をみて殺意がわき岡田殺害計画をたてる森田。

・森田のストーカー再開に危険を感じたユカは岡田の家へと引っ越す。

・森田は岡田とユカを探しながら過去の共犯である和草や行く先々で人々を衝動的に殺していく。

・遂に森田に住居を見つけられユカは襲われるが、間一髪岡田が間に合ってもみ合った末に窓から転落。

・岡田は森田に人質として捕まり、車で警察から逃走。

・しかし不意に飛び出してきた白い犬を連れた老人を避けたが為に車は大破。

・森田は右足を損壊し逮捕、岡田は一命をとりとめた

・森田の回想で過去に岡田と仲良くゲームしていたこと、家では白い犬を飼っていたことがわかりEND

岡田とユカの可愛さに思わずほっぺがゆるむ

(安藤先輩のチェーンソーでバラバラにしてやりたくなるくらい岡田に嫉妬しました)

前半は主に岡田パートがメインでして、内容はちょっとおかしな安藤先輩とのやりとりとユカとの恋愛なんですね。

そんでまあユカを狙っている安藤先輩に対して、ユカは岡田が好きという事実が判明してからは岡田とユカの恋愛が始まるんですよ。

んでユカ役の佐津川愛美がま~~~~~~可愛いこと可愛いこと。

それはもう森田じゃなくても岡田に殺意(と言うなの嫉妬)が湧きそうなくらい可愛いんですよ。

ユカという女性キャラクターは恐らく日本全国の99%くらいの男にとっての理想像なんじゃないですかね~?

(こんな風に告白されるのも世の男子の願望ではないでしょうかね!?)

そして二人のイチャラブ具合がまたほっぺが緩むんです。

岡田くんは所謂童貞なもんだからユカの過去の男遍歴に嫉妬したり、オトナの玩具を買ってユカに拒否されてへこんだりと愛くるしいキャラしてるんです。

こういうことって男の子なら誰しもが通った道なんじゃないでしょうかね?

しかもですよ?全国の男子の憧れであろうユカとのラブシーンも余すところなく見せてくれるのです。

まあ、メチャクチャ気合入れて見せまくってるとかではないんですけれども、絶妙に見えそうで見えないというチラリズムがまた素晴らしいんですよね~。

まさにラブシーンの絶対領域!個人的にはここのシーンがこの映画で一番の心踊りましたね。

なぜならユカと岡田の濃厚なラブシーンの裏では、森田による凄惨な撲殺シーンが対比になっていてそれがまた素晴らしいのです。

幸福と絶望、生命の誕生と生命の終わり、最上級の快楽と最悪の苦痛・・・幸福と快楽の絶頂と絶望と苦痛の絶頂という相反する物を同時に観た僕の気持ちをベルセルクのスランに代弁していただきましょう。

わらしべキラー森田の裏に隠れた素顔が観たかった

作中一切笑顔を見せない森田の唯一の笑顔は、パチンコで出している所というのが切ない)

岡田のパートとはうって変わって森田のパートになると凄惨かつ陰鬱なお話に切り替わります。

森田によって次から次へと犠牲者が出ていくわけですが、その度に森田の武器や住処がちょっとずつパワーアップしていくんです。

ここらへんはマイケル・ダグラス主演の『フォーリング・ダウン』っぽくて凄く良かったです。

でも欲を言えばサイコキラー森田だけでなく、いじめられっ子森田をもっと描いてほしかったですね。

森田はいわば潜在的なサイコキラーなんかではなく、周りの環境によって作られた人工的なサイコキラーなんですよ、それも不完全な。

なぜならパチンコで買った金をヤンキーに巻き上げられてボコられるなんて不始末は『フォーリング・ダウン』のD=フェンスはやらかしません。

ブチ切れて相手を追い詰め、運を味方につけ、視聴者の気持ちいいようにフルボッコにしてくれるでしょう。

でも森田はならなかった、いや、できなかったんですね。

その背景にはイジメによって人格を壊された森田がいて、今でもイジメてくるやつに対処できずにいるからなんです。

そしてあのシーンがもしこういった事を示唆しているのであれば、いじめられっ子の森田をもっと観たかったなあと思うんですよ。

だってアレだけ無差別な殺人を行ってた森田が、最後には犬を避けてあえなく御用ですからね。

本質は優しい少年だったのは誰の目にも明らかなわけですよ。

だから僕が観たかったのはその先であって・・・優しい少年が壊れたキッカケはイジメだろうけど、何故他者を傷つけようと思うようになったのかが知りたいんですよね。

ラストの森田家の日常なんてわりとホロッとくるだけに森田の豹変の過程が描かれていないのが残念でなりません。

とは言え映画の尺的にどこを削ればっていいんだってなるのもあるし・・・うーん、スッキリせぬ。

ユカと森田の関係が無意味なのが・・・

(森田が岡田が幸せになるのが気に入らんってだけで、暴走したのが個人的にあまりノりきれなかった)

結局森田はなんでユカに固執してたんですかね?

単純に可愛いから狙っただけ?それとも岡田と関係持ったから固執していた?

こっからはただの予想ですが、最初にストーカーしていたのはま~ユカが気に入ってて可愛かったらでしょうね。

でもそれ以前に犯罪を犯していなかったことを考えると、家に乗り込んでまで何かをしようとは思っていなかったんでしょう。

あんな暴挙に出る森田なら家を知っている以上、やろうと思えばいつでもやれたわけだしね。

それが岡田と付き合っているということを知り、❝何となくムカついたから執拗なまでに付け狙った❞んですかね。

だとしたらな~んかイマイチ盛り上がらないというかね。

僕はこの映画をホラー映画と言う前情報のみで、観てたからず~とユカには何か隠されていると思い込んでたんです。

そもそも岡田に惚れているのもちょっと現実味ないし、絶対裏があって、森田に付け狙われているのだってきっと理由があると思っていたんですよね。

でも結局そこには何もなかったのがちょっとガッカリでした。

そんでま~、なにもないのなら何もないで「何もないのに付け狙われるんだぞ!怖くない!?」みたいな森田のサイコな所をアピールしてほしかったんですよね。

まあ、否定的な意見を述べるほどではないけれどユカと森田がただの赤の他人ってのがちょっと気になっちゃいました。

イジメという傷は深く深く根をはる

映画とはちょいと関係ないけれども、イジメってやっぱりえげつないなあと改めて思いましたよ(小並感な発言)

そりゃ、犬の糞を食わされるとかエアーガンの的にされるとか女子の前で下半身露出させられるレベルのイジメって中々ないと思います。

もちろん、全く無いわけではなく日本全国のどっかでは行われており、そして被害者は将来をぶち壊されていることでしょう。

でも大半のところではそれレベルのイジメはなく、「俺らのとこではそんなんないよな」程度の認識なのではないでしょうか。

だけどもそれって結局の所、イジメだと思っていない人の目線でしかないんですよね。

イジメは客観的にみた問題の大小だけはでなく、本人の耐性にも大きく左右されます。

耐性が低い人によっては他の人がイジメと思ってないレベルの❝イタズラ❞ですら将来に大きな支障をきたしてしまうんですよね。

そうやって周りがイジメとすら認識できていないイジメは、被害者は周りの理解も得られずある意味では目に見えてわかりやすい暴力的なイジメよりも影響は大きいのかもしれない。

そして現実ではイジメによってこの映画の❝ラストの森田と岡田のような、本来ありえた幸せが失われてしまう❞可能性があるって思うとなんだか切ないですね。

まとめ

個人的にはかなり楽しめるいい映画でして、エロ、グロ、スリリングと三拍子そろっており文句はありません。

ただ森田というサイコキラーにはそこまで惹かれませんでしたしね~。

バックボーンがしっかりと描かれてないためにサイコキラー特有の恐怖感が薄いんですよね。

何考えてるかわからない怖さもなければ、苛烈な過去を背負った悲しきキラーでもなく、とにかく印象として薄く弱かったです。

まあ、事前に「森田のサイコっぷりがヤバイぞ!」と言う噂を聞いていて、自分の中でハードルを上げてしまった影響もあるかもしれませんけどね。

とは言え全く記憶に残らないほど薄っぺらくもないので満足っちゃー満足です(偉そうな発言ですみません)

 

ビバ、わらしべ長者、個人的に大大大好きな映画です。

D=フェンスの言ってることは差別的だし、やってることも破壊行為なのになぜか共感してしまう事間違いなし。

フォーリング・ダウンと似た系統の映画、これも面白いですよ~。

森田にもこんな可愛い相棒がいたのなら人生は変わっていたのかな?

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5 Responses to “[猟奇的ラブコメ]ヒメアノ~ル ネタバレ 感想[スラッシャー]”

  1. 中村 より:

    今晩は中村です。

    ここでは私と意見が分かれたかなと思ったんですが、内容を読ませてもらうと、実は私の方も割と近い評価なんですよね。それでも私の方はもう少し評価高めですが。
    しかしながら、昨今の邦画ではこの普通に面白い程度の映画ですら数本に一本のレベルなんですよね…。
    正直吉田恵輔の映画で、このスタイルで作られたものなら「さんかく」や「純喫茶磯辺」の方が良くできていたと思います(この二つは個人的に文句なしです)。
    ただ、古谷実の原作とは全く違うラストシーンを用意して、ただのサイコホラーに終わらせなかった点はかなり評価しています。高評価を入れた人の中でも、同じ点で評価を上げた人は多いんじゃないでしょうか。

    思い返せば劇場で観た邦画の中で大変満足!と言える映画を最後に見たのは2014年大林宣彦の「野のなななのか」でした。もう3年も前になります…。
    まあこれも人によって星1か5かの評価になりそうな映画ですが。

    吉田恵輔は昔から応援している監督なのでこれからも期待しています。

    • ゆでたま より:

      中村さん、こんにちは!

      そうですね~、昨今の邦画界でのアタリ率って本当に低く感じますよね。
      どっちも予告とかあらすじみてきましたけど面白そうですね~、とくに『さんかく』は観てみたい!(観たい作品が増えていく・・・)
      原作との相違は僕も視聴後にwikiで知りました。
      監督のやりたかったことや僕が映画に対してこうして欲しい!というのをちゃんと踏まえた上であ~いう展開にしてたのが、知れてスッキリしました。
      こういう映画作りに対する考えを観ちゃうと僕もちょっと評価を変えたくなっちゃいます(^^;)

      作品レビュー観てきましたが、随分と真っ二つに割れてる映画でしたね~。
      僕も邦画を劇場で最後に観たのってなんだっけ、『今、会いに行きます』だったかな?となると13年前か・・・(ーoー;)

  2. より:

    ゆでたまさん、こんばんは。
    ホラーの巨匠、トビー・フーパー監督が亡くなりましたね。
    ゆでたまさんはお気に入りの作品があるでしょうか?
    また記事をお待ちしてますね。

    • 中村 より:

      こんばんは中村です。
      横から失礼します。

      トビー・フーパー亡くなりましたね。
      ロメロに続きホラー映画界から名手が二人も亡くなるとは流石にショックです。

      続編が出るたびに死者が出ると曰く付きのフーパー製ポルターガイストももう終わってしまうと思うと寂しい思いです。

      その昔名を馳せた名監督も次々と亡くなってしまう程の年月は経っていったんですねぇ…。

    • ゆでたま より:

      雪さん、こんばんは。
      僕はトビー・フーパー監督作品は『マングラー』ぐらいしかハッキリとは覚えてないんですよね。
      『悪魔のいけにえ』は観てはいるけれども、小学生くらいの時に観たので殆ど記憶にありません。
      なのであまりトビー・フーパー監督の事に関してはそこまでかけることはないですね。
      でもホラー映画というジャンルに関してはちょっと特別な思いや書きたいこともあるので、記事にしてみようと思います。

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