偽りなき者 ネタバレ 感想

偽りなき者 [DVD]

あらすじ

「セレブレーション」「光のほうへ」で知られるデンマークの名匠トマス・ビンターベアが、「007 カジノ・ロワイヤル」「アフター・ウェディング」のマッツ・ミケルセンを主演に迎えたヒューマンドラマ。変質者の烙印を押された男が、自らの尊厳を守り抜くため苦闘する姿を描き、2012年・第65回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞ほか3冠に輝いた。親友テオの娘クララの作り話がもとで変質者の烙印を押されたルーカスは、身の潔白を証明しようとするが誰も耳を傾けてくれず、仕事も親友もすべてを失ってしまう。周囲から向けられる侮蔑や憎悪の眼差しが日に日に増していくなか、それでもルーカスは無実を訴え続けるが……。(映画.comより)

予告

90点

一寸先は冤罪

ブログを読んでくださった方が紹介してくれた映画です。

トガニ 幼き瞳の告発」は子供の虐待を題材にした映画ですがこちらは幼児虐待の冤罪を題材にした映画です。

予告の時点でだいぶ胸糞っぽい展開は覚悟していたけど予想以上でした・・・

のりたまは感情移入し易い方なのでポロポロ泣いたり頭から湯気出るほど怒ってましたよ(^^;)

トガニと大きく違うのあっちは実話でありながらもエンタメらしさを残していたのに対してこちらはかなり淡々としています。

でもその淡々とした撮り方や展開が実話のようなリアリティを出していましたね。

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ザックリとストーリー紹介

・幼稚園に勤務するルーカスは優しくもしっかりしているので人気者

・親友テオの娘でもあるクララには特に気をかけていたルーカスにクララは恋心を抱く

・ルーカスはクララにキスされラブレターを渡されるがそれをやんわりとたしなめる

・拒絶されたことに怒ったクララが「ルーカスにいたずらされた」と嘘をついてしまう

「酔っぱらいと子供は嘘をつかない」というデンマークの諺通り誰もがクララを信じてルーカスは町から村八分にされてしまう

・ルーカスを信じてくれる数少ない友人や息子のマルクスに支えられ警察から不起訴処分され開放される

・だが一度湧き上がった人々の疑念は晴れることがなくルーカスは酷い誹謗中傷を受け続ける

・心身ともに参ったルーカスはクリスマスに教会に行き親友のテオに魂の訴えをする

・テオはルーカスの嘘をつく時の癖を知っているのでルーカスが嘘をついてないのがわかってしまう

・1年後にマルクスは立派に成長し一緒に狩りに行くがルーカスが誰かにライフルで狙われる

・命中こそしなかったものの町にはまだ疑念が残り続けていることが暗示されEND

向ける怒りの矛先がどこにもない

序盤から中盤くらいまではクララの自閉症っぽい感じもあいまって「こんのバカちんが!お前のせいで人の人生ダメになってんだぞ!」と子供に対して大人気なく苛立ったり・・・

ルーカスの親友テオやそれまで仲良く飲み明かしてた友人達に対しても「貴様らの友情はその程度かい?ああん!?」と憤慨しすぎて脳みそが飛び出しそうでした。

でも見終わって少し冷静になってみるとこの怒りって何処へ向けても間違ってるんだよなあって感じたんですよね。

なぜなら子供を育てたことがない僕にテオや周りの親の気持ちはわかりません。

仮に自分に子供がいたとして万が一こんな事が起こったとして冷静でいられる自信は全く無いですからね。

たとえ親友だろうがなんだろうが間違いなく疑心暗鬼になるでしょうし・・・

クララにしたってルーカスのあんな断り方じゃ乙女心が砕かれちゃって怒るのも無理ないだろうしなあ。

そりゃ子供のいたずらじゃ済まされはしないけど、まだまだ幼いクララにそこまで責任を追求しても仕方ないですからね。

頭で分かっても許せない人達

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上で怒りを向ける矛先はないと綺麗事をのたまった後にこういうのもなんだけど・・・

やっぱりどうしても許せない人達もいます。

怒りの矛先を向ける場所がないってのはあくまで理屈であって感情ではないのでよ。

正直感情的にはプッツン来るような奴らが結構いましたよ。

特に園長だけはどーーーーしても許せませんね。

まずね・・・

いくらなんでもあのザルな事情聴取でルーカスを変態と決めつけるのはないでしょう。

園長の呼んできたおっさんはとてもじゃないけどカウンセラーとは思えない風貌だしそのやり方も誘導尋問にしか見えないですからね。

極めつけはルーカスの奥さんや子供にまでクララとのことを連絡したこと。

何の物的証拠もなくそこまで言いふらすとか頭おかしいとしか思えません。

しかも潔癖なとことかが鼻につくのも相まってこの映画では僕は一番許せないキャラでした。

ハッキリいって子供を無垢で純粋と崇めようとしているだけの狂信的な信者にしか見えませんよ。

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あと町の住民の暴力も許せないですね。

警察の疑念は晴れたのに買い物一つすら満足にさせないだけでなく、しまいには寄ってたかってボッコボコにしてますからね。

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唯一同情的(無関心?)っぽく見えるレジの女の子だけが救いでしたよ。

 

そしてルーカスの愛犬ファニーですよ・・・

あれは人としてもっともやっちゃいけないことなんじゃないでしょうか?

息子のマルクスに暴力を振るうのは1000000万歩譲っていいさ(全然良くはないけど)

親が憎ければ末代までうんたらっていうのは人の性だからね。

でも人間に対する悪意を動物にまで向けるとは何事ですか!?

のりたまは大の愛犬家なのでもう泣きに泣いとりましたわ。

正義を振りかざす人々

園長も住民もきっと正義の名のもとに事件を共有してルーカスを断罪してるつもりなのでしょう。

だけどその正義には自分のエゴも含まれているのにはまるで気づいていません。

こういった人は映画の世界だけではないです。

SNSで見聞きしただけの事件に対してまるで自分たちが正義の味方にでもなったかのつもりで罪を捌こうとする輩はいます。

果たして彼らはその正義が覆ったら・・・と考えたことはあるのだろうか?

自らの正義を信じるのは結構ですけど正義を行う代償を背負う覚悟くらいは持てている人がどれくらいいることやら。

胸糞映画たる所以

この映画って実はラストはわりとハッピーな終わり方をしてはいるんです、表面上は・・・

ラストの方ではルーカスの誤解も解け町の人々とも仲良くしているようでした。

だけど彼らからの謝罪とかは一切描写がないんです。

真相に気づいた親友のテオですら一言も「すまなかった」という言葉はないんですよ。

観てる側としたらルーカスが不憫で不憫でしかないですから謝罪の一言や園長が交通事故にあったりするくらいは欲しいですよね?

でもまーーーーたく何もないまま終わってるんです。

それはなぜかを考えてみたんですよ(ない頭をフル回転)

 

それはこの事件が何一つ解決してないことを暗示しているのだと思います。

ここからは推測でしかないけど・・・

テオは真実を知った後きっと町の皆を集め真実を公表したのだと思います。

当然ルーカスに暴力を振るった人や誹謗中傷した人がよってたかって謝罪したんじゃないんですかね。

そして手を取り合いハグしあって過ちに涙を流す人もいたでしょう。

でもそれでこの問題って解決したのでしょうか?

まず間違いなく解決してないと思います。

 

園長は事件の当初に「子供は自分に起こった嫌な出来事を忘れるためになら嘘をつく」というような事を言っていました。

実際この事件が発覚した直後にクララがアグネス(クララの母ちゃん)に嘘を言っていたと言いました。

でもアグネス「きっと嫌なことを忘れるために嘘を付いてるんだ」と思い込んでしまっていたんです。

ってことは実の親であるテオが何を言おうと今度は・・・

「親友だからテオはルーカスを庇おうとしている」といったようにうけとってしまう人もいるんじゃないでしょうか?

 

もうこうなると泥沼なんですよね。

誰が何を言おうと心の奥底で根付いてしまった疑念は絶対に消えはしないのです。

ラストのルーカスを狙った銃撃がまさにですよね。

結局表向きの誹謗中傷はなくなっても水面下での疑心が一生ついてまわります。

そうなるとルーカスは眠れない夜や他人への疑心に満ちた人生を送ることに・・・

そう考えたらラストの和解は最悪の胸糞エンディングに思えて仕方がないです。

疑問点とその答え

この映画では解決してない箇所が二箇所あります。

愛犬ファニーの件とラストの銃撃の正体です。

そこを僕なりに考察をしてみました。

間違っていたら遠慮なく突っ込んでくださいな。

・ファニーの件は誰がやった?

トルステンってのが有力だと思います。

理由はクララが「ファニーはどこ?」ってアグネスに聞いた際に何か知っているようでした。

仮説ですが息子のトルステンが帰ってきた際にアグネスに話したか、もしくはアグネスが夜中に帰ってきたトルステンを見て察したんじゃないでしょうか。

アグネスがやったという線も無くはないだろうけど・・・性格は悪そうでも保守的な性格だからこんな暴挙に出れるとは思えませんしね。

・ラストでルーカスを銃撃したのは誰?

誰でもあって誰でもない・・・って思います。

この映画の趣旨は疑念です。

仲良く握手してハグしようとも腹の底では何かを抱えているかもしれない・・・

だから「いつ何処で誰に狙われるのかなんてわからないぞ」「一度膨れ上がった疑念という名の悪意は絶対に消えはしないぞ」

という含みを込めており、ラストの銃撃者は町の人間に限らずこの事件を見聞きした人なら誰でもありえるんだという解釈をしました(逆光で顔が見えないのもなんとなくそれを暗示してる気がしないでもない)

まあ、ただの深読みで実はトルステンでした~ってのも全然ありえると思うんですけどね。

まとめ

主役のマッツ・ミケルセンの渋くて存在感あるしクララ役のアニカ・ヴィタコプちゃんは子供とは思えない演技が素晴らしかったです。

全体的に派手さはなく静かに話が進む映画だけど人の闇、コミュニティの闇、冤罪の闇がよく描かれていて色々と考えさせられましたね。

 

あと事件が解決して一見ハッピーエンディングにみえて実はこれ以上ないほどのバッドエンディングってのも斬新でよかったです。

終盤は観てるこっちまで疑心暗鬼になりましたからね。

マルクスの銃が何か仕組まれてて暴発するんじゃなかろうかとか、テオがもってきた食事が実は娘の嘘を守るための毒入りでルーカスは死ぬ間際に夢をみてるだけなんじゃないかーって戦々恐々でしたよ。

いやー、いい映画でした。

 

子を持つ親にはトラウマになりかねないくらい強烈な映画なので視聴注意。

僕の感想はこんな感じです→トガニ 幼き瞳の告発 ネタバレ 感想

エヴァ・グリーンもでてるのでレンタル始まったら観たい映画です。

リベンジものって大好物なんですよね。

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