[犬屋敷おじさんと]いぬやしき 映画 ネタバレと感想[空飛ぶ高校生]
あらすじ
「GANTZ」の奥浩哉による人気コミックで、テレビアニメ化もされた「いぬやしき」を、木梨憲武&佐藤健主演、「GANTZ」につづき奥作品の実写化を手がける佐藤信介のメガホンで映画化。会社や家族から疎外されている、定年を目前に控えた初老のサラリーマン・犬屋敷壱郎。医者から末期がんによる余命宣告を受け、虚無感に襲われた犬屋敷は謎の事故に巻き込まれ、機械の体に生まれ変わる。犬屋敷と同じ事故に遭った高校生の獅子神皓も犬屋敷と同様に人間を超越した力を手に入れていた。自分に背く人々を傷つけるためにその力を行使する獅子神。獅子神によって傷つけられた人たちを救うためにその力を使う犬屋敷。強大な力を手に入れた2人の男たちのそれぞれの思いが激しく交錯していく。犬屋敷役を木梨、獅子神役を佐藤が演じるほか、伊勢谷友介、斉藤由貴、本郷奏多、二階堂ふみらが出演。
75点
二階堂ふみの渡辺しおんだけで観る価値あり
漫画もアニメも両方みてるので気になっていた『いぬやしき』を観ました!
監督は『アイアムアヒーロー』の佐藤信介で他には『GANTZ』なども手がけており、何かとケチを付けられがちな邦画アクションでも高い評価を得ている監督さんです。
『いぬやしき』自体は僕は原作も好きですけど、どちらかと言えばアニメの方好きでして、小日向さんの棒読みというかアニメの中で浮いてる感じの声が逆に好きだったんですよね~。
なので実写版も主演は小日向さんが・・・って期待してたんで、木梨憲武が主演って言われたときは正直「えぇ・・・」と思いましたね。
でも終わってみれば木梨憲武の犬屋敷壱郎はこれはこれでアリと思えましたよ。
目次
ザックリとストーリー紹介
・見た目以上に老けている犬屋敷壱郎は念願のマイホームを購入するものの、家族仲は冷めきっていた。
・会社でも年下にこき使われ、追い打ちをかけるように医者に癌を申告される。
・捨て柴犬の花子と出会い、犬屋敷壱郎は公園で夜空を見上げて打ちひしがれていたら光る物体が衝突。
・その場にいた犬屋敷壱郎ともう一人の青年獅子神皓は即死するものの、異星人によって機械として再生。
・機械となって人々を病気から救う犬屋敷壱郎に対し、獅子神皓は人を殺して回っていた。
・獅子神皓の親友であるチョッコーは獅子神を止めるべく、犬屋敷壱郎と協力して機械の体を使いこなすようになる。
・殺人が警察にバレてしまった獅子神皓は渡辺しおんの家に居候となるが、自分の息子が殺人者であることに耐えきれず母親は自殺。
・母親を自殺に追い込んだやつを片っ端から殺していく獅子神だったが、警察の襲来によって今度は渡辺しおんも流れ弾によって命を落とす。
・希望を失った獅子神は日本の人工全てを殺害することを宣言。
・それを止めるために犬屋敷壱郎はついに獅子神と直接退治する。
・戦いの影響で犬屋敷壱郎の娘の麻理が見学に来ていたマンションが崩れ、麻理は獅子神に撃たれる。
・獅子神との対決に勝利した犬屋敷壱郎は娘を救い、もとの生活に戻る。
・死んだと思われていた獅子神だったが生きており、チョッコーのところに現れ言葉を少し交わしてどこかへと消えていきEND
木梨憲武の犬屋敷壱郎も意外と悪くなかった
僕は原作の犬屋敷壱郎というキャラが凄い好きなんですよね。
原作の犬屋敷壱郎はなんでかよくわからないけど常に汗かいてるし、プルプル震えてるし、おじいちゃんかってくらい老けてるんです。
そんな衝撃的なビジュアルに対して彼の心はどこまでもピュアで、二言目には「かわいそうに・・・かわいそうに・・・」と言葉にするんですよ。
でも木梨憲武演じる実写版の犬屋敷壱郎は良くも悪くも普通のくたびれたサラリーマンになってるんですよね。
個人的にこの改変はしょうがないのかなと思います。
原作の犬屋敷壱郎って漫画やアニメで観るから底抜けにピュアなおじいちゃんに見えるんだけども、これ多分実写でやるのって難しいです。
中途半端な演技力では間違いなく「ただのクサイキャラ」に成り下がっちゃいますからね。
佐藤健の獅子神皓は完全に別物
個人的に今作で映画を観る上では減点ポイントではないものの、原作ファンとして残念に感じたのが獅子神皓のキャラ設定でした。
原作では他者への共感能力に優れた犬屋敷壱郎と対して、著しく共感能力が欠けた若者って感じのキャラクターなのが獅子神皓なんですよ。
優しくて人の痛みを自分の痛みとして捉えられる犬屋敷壱郎と自分と身内以外は人間とすら認識していない獅子神皓。
わかりやすい対比ではあるものの、それに数々の場面で深い意味と感動を与えられるって構成になってるんです。
でも映画版ではそこらへんが掘り下げられてないせいで、獅子神皓がただの冷静沈着なシリアルキラーにしか見えないんですよ。
あと役柄どうのとは関係ないけど、流石に高校生やるには佐藤健は歳食いすぎるように感じました。
学校通ってる姿も貫禄ありすぎて大学生のお兄さんか若い教師に見えちゃってますからね。
原作の獅子神皓の魅力とは?
原作での獅子神皓って言ってしまえば、現代人を投影した姿なんですよね。
高校生って設定ではあるものの、現実世界では社会人だろうと青年だろうと政治にも家族にも他人にも興味がないって人わりといるじゃないですか。
他人が死のうがどうでもよくね?自分と仲良いやつだけ楽しけりゃよくね?獅子神皓はそんな人々の心の内を包み隠さずに表に出しているだけなんですよね。
また獅子神皓は曲がりなりにも自分の母親や渡辺しおんの為に幸福になるための努力をしてるんですよ。
世間からすれば病的で幼稚な獅子神皓かもしれんが、現実世界でも獅子神皓と同じような事を考えてる人、思ってる人は相当数いるんじゃないですかね。
SNSの発展、ネットの発展による無感動がもたらす弊害・・・実写ではそんな現代人の闇をかかえた獅子神皓を期待していたんですけどね~。
渡辺しおんの再現度たっけー!
漫画原作ってなるとやっぱどこまで似せられるのか?も楽しみの一つですよね。
そういう意味では今作では二階堂ふみ演じる渡辺しおんの再現度がべらぼうに高かったです。
原作では相当人気のあるキャラだけど、原作ファンも二階堂ふみの渡辺しおんには納得の出来じゃないでしょうか?
あとどうでもいいんだけど、原作では渡辺しおんのあだ名ってチンゲなんですよ(チリチリの毛だから)
映画では流石にチンゲとは呼びませんでしたね(^^;)
佐藤健にチンゲと呼ばせるのがまずいのか、二階堂ふみがチンゲと呼ばれるのがまずいのか、改変された理由をぜひ知りたいものですな。
CG全開のアクションは可もなく不可もなく
わりと評価されているCGのアクションですが、個人的には可もなく不可もなくでしたかね~。
言ってしまえばCGアクションはもうアメリカン映画で見慣れちゃってるんで、CGアクションの尺を減らしてでも他に尺を使ってほしかったな~って思いました。
奥浩哉作品って確かにアクションも秀逸ではあるけど、それ以上に物語の展開やキャラクターの魅力ありきなんですよ。
だから僕としては映画でもアクション主体ではなく、キャラクターを描く方に力をいれてほしかったな~。
まあ、視聴者層や興行収入とかを考えるとアクション多めにして物語はシンプルにした方が良いんでしょうけどね。
はな子の泣き所がなくなってたのはガッカリ
今作はそもそも結末が原作と違うんですよね。
原作は隕石衝突が避けられないってんで、地球オワタムードでそこらへんでDQNは全裸で走ってたり、人目もはばからずに交尾してたりカオスになるんですよ。
そんで獅子神皓も犬屋敷壱郎も大事な人を守りたいって気持ちは同じだもんだから、宇宙に飛び出して隕石を破壊しに行くんですね。
そこで飛び立つ犬屋敷壱郎に対して家族は泣きながら見送り、はな子は階段から転げながら追いかけるんです。
このはな子のシーンがね、クレヨンしんちゃんの『オトナ帝国の逆襲』の名シーンである階段上りくらい泣けるんですわ(動物者にはほんとに弱い)
実写版では隕石の下りがないから、はな子を活躍させられない可能性が高いのはわかってたけどちょっとガッカリでしたね~。
二部構成にしてヤクザ編や警察襲撃を入れてほしかった
原作におけるヤクザ編が今作ではバッサリカットされてるんですよ。
『いぬやしき』って漫画に知名度ないから無理なのはわかるんだが、二部構成にしてでもヤクザ編やってほしかったな~。
二部構成にできれば、前編は犬屋敷壱郎の人助けやヤクザ編を主軸にしたりキャラを掘り下げたり出来たと思うんですよね。
前編がキャラクターの掘り下げなどを重視、後編では警察襲撃などのアクションメインみたいな。
そうすれば隕石の下りも入れられるだろうし、原作ファンが観たいものは全部観れるんだけど・・・まあ難しいですよね。
そんな予算があるならもっと名の売れた原作に使うだろうしな。
マニアックな小ネタ
本編には全然関係ないけど、チョッコーがやっていたゲームは『ヴァンキッシュ』ってゲームです。
アクションゲームを作らせたら右に出るものはいないレベルのプラチナゲームズによる初期の作品ですね。
TPSとアクションゲームを組み合わせたら面白くね?って発想から生まれたゲームで、プラチナゲームズらしいやり込めばやり込むほど技術が上達していき楽しみ方が増えていく傑作です。
ちなみに宣伝の方があまりうまく行かなかったからか、音速で価格が暴落して僕は1000円位で勝った記憶があります。
三上ゲーで有名な『デビルメイクライ』、『ベヨネッタ』などと肩を並べても遜色なく面白い作品なので、是非やってみてください。
三上ゲー全般に言えるけど操作に慣れるとめっちゃ爽快なアクションゲームになります。
奥浩哉の描く女性ってなんであんなにエロ可愛いんですかね。
最近のコメント