[DQNじゃなくて]アイアムアヒーロー ネタバレ 感想[ZQN]
あらすじ
花沢健吾のベストセラーコミックを、大泉洋主演で実写映画化したパニックホラー。冴えない漫画家アシスタントの主人公・鈴木英雄が、謎のウィルスによって「ZQN(ゾキュン)」と呼ばれるゾンビと化した人々に襲われ、逃亡の道中で出会った女子高生の比呂美と、元看護師の藪とともに不器用に戦いながらも、必死でサバイバルしていく姿を描く。主人公・英雄を演じる大泉と、歯のない赤ん坊ZQNにかまれ、人間に危害を加えない半ZQN状態になるヒロイン・比呂美役の有村架純、大胆な行動力でZQNに立ち向かう藪役の長澤まさみが共演。「GANTZ」「図書館戦争」シリーズを手がける佐藤信介監督がメガホンをとった。(映画.comより)
予告
75点
邦画業界の実写化のお手本にしてほしい
漫画「アイアムアヒーロー」原作の実写映画。
邦画による漫画の実写は基本的に散々な結果に終わることが多い中、この映画は非常に良く出来ていました。
特に原作を変に再現しようとせずに所々を上手く改変してたり、役者が適材適所なのが素晴らしい。
また映画としての基本的な作りがいいので、お手本のような映画だったと思います。
ただその反面・・・邦画界の癌というか無駄な贅肉も痛いほど感じた映画でもありましたね。
目次
ザックリとスーリー紹介
・漫画家になることを夢見つつもアシスタントで何とか生活を食いつないでいた鈴木英雄
・英雄には同棲相手の徹子という女性がおり、徹子は夢を追い続ける英雄に心底辟易していた
・ある日仕事から帰ってきた英雄を徹子に対して積もり積もった思いとともに別れを告げる
・家を追い出された英雄はいつもどおり会社へと向かうが、その帰りに徹子から電話で仲直りしたいと言われる
・家に戻ってきた英雄だが徹子はZQN(ゾンビみたいなもの)になってしまっていて英雄を襲う
・襲われた英雄は正当防衛とはいえ徹子を殺してしまい、その場から逃げる
・家を飛び出すと街はZQNだらけで大混乱、偶然知り合った女子高生の比呂美と共にタクシーで逃亡するが横転
・気がついた二人は富士山へと向かうが途中で比呂美が感染者だと知る
・だが比呂美は半感染状態で人に危害を加えないため、英雄は比呂美を連れて富士山を目指す
・道中でZQNに襲わたところを藪に助けてもらい、ショッピングモールの屋上で立てこもっている集団と知り合う
・しかしリーダーの井浦は英雄のショットガンに目をつけ、比呂美を人質にとってショットガンを強奪
・だが井浦を裏切ったサンゴがリーダーに成り代わり、チームを作って食糧の調達へといく
・しかし井浦の策略でサンゴのチームは壊滅、英雄は絶体絶命に陥る
・同時期残された屋上組にも陸上ZQNが襲来して壊滅、残された藪と比呂美が無線で英雄に助けを呼ぶ
・英雄は比呂美と藪を助けるために奪われたショットガンを回収し、藪と比呂美を救出
・100体近いZQNを倒した英雄は藪に本名が小田つぐみだと教えてもらい、車で小田と比呂美と脱出する
英雄の再現度が素晴らしい
原作の英雄はこんな感じの冴えないおっちゃん。
ズレた感性と常識を持ってるけど、いざって時には男らしいところも見せてくれる。
「普通」っぽく見えるけど非凡なヒーローって感じが僕は好きです。
映画では大泉洋が演じていて、再現度は中々のもの。
ただ原作そのもののようなキャラと言われればそんなこともないんですよね。
原作の英雄は普通ぽく見えるだけで中身は全然普通なんかとは程遠くて、普通の皮を被ったズレた感性の持ち主なんですよ(あんまり言うとネタバレになる)
でも映画ではちょっと抜けているだけのどこにでもいる中年男性。
けどこのどこにでもいるってポイントが意外と悪くなくて・・・僕はむしろ原作っぽくしなくてよかったなとさえ思うほど。
原作の英雄の独特な雰囲気は実写化する上では浮く可能性がありますからね。
だから映画の英雄像を原作とは違う風に少しアレンジしたのはむしろ良かったなと思います。
パンデミックやZQNのビジュアルが並の邦画を超えてる
(ドーン・オブ・ザ・デッドライクな始まり方が素敵)
日本でゾンビが溢れたらどうなる・・・?
って一度はゾンビ好きなら妄想したことありますよね。
序盤のパンデミックによる大混乱の映像は「日本でゾンビが溢れたら!?」をいい感じで表現できてると思います。
ここ数年・・・こんなにそれっぽく見える邦画は観たことなかったなあ。
あとZQNのビジュアルも良い!
邦画ゾンビにありがちななんちゃってメイクではなく、CGをうまく活用した原作の不気味な動きや見た目を見事に表現しています。
また日本が舞台だから一般市民の戦闘力が低いのがいい具合にマッチしてる。
欧米人だと体が大きいしマッチョ文化があるもんだからゾンビがカカシになり気味。
ウォーキング・デッドなんてもはやゾンビはオブジェで人VS人になってますからね。
(スタイリッシュな装填やダブルタップを決めまくる英雄には思わずニッコリ)
原作同様英雄はショットガンを終盤まで使いません。
いくらZQNと言えどある程度は人の形をなしてますからね。
普通の神経では中々撃てませんよ。
だから最初の一発までは原作同様終盤まで結構引っ張るけど、その分打ちはじめた時のカタルシスも中々のもの。
原作のデブZQNにちょっとアレンジが加えられてたり、陸上ZQNがラスボスになってたりと漫画を知ってる人でも手に汗握る展開が良かったですね。
あと原作では英雄と村井って男の人(映画ではアベさんが村井ポジション)だけが戦ってたけど、映画では藪とサンゴも戦闘に加わります。
ただ英雄以外の戦闘は正直蛇足かな~なんて思ったり・・・サンゴも村井も死に様がやっすいドラマっぽくなっちゃってて残念なんですよね。
まあ、サンゴは原作で比呂美に手足を折られた目白とキャラが統合されたからなんでしょうね。
村井の原作の死に方は唐突かつ中途半端だし(それが良いんだけどね)映画だとこれが正解なのかもしれませんな。
徹子の扱いが残念
原作での徹子はZQNになってしまい英雄に断頭されるんだけど、映画では英雄が襲われて突き飛ばしたさいに徹子が死んでしまうんです。
また徹子関連のエピソードはバッサリカットされてしまい、徹子はただのダメ男に呆れているだけの女になってしまいました。
これは尺の問題でしょうがないし良いとは思うんです。
でも原作ファンとしてはやっぱり徹子の英雄を思う気持ち(英雄をZQNから守ったりコロリの漫画を全部捨てて英雄の漫画を整理している)や徹子の首を泣く泣く落とす英雄のシーンは再現してほしかった。
地味だし原作では数コマの出番しかないから端折られてもしょうがないと言えばしょうがないけど・・・
有村架純は可愛い!でも・・・
(原作だと比呂美は右目が赤いけど映画は左目)
有村架純はやっぱり可愛いですね~。しかも今回はJKですからね!JK!
ただこの作品には不釣り合いと言わざる終えません。
原作の比呂美は可愛すぎずどこにでもいる感じの高校生なんですよ。
え?ヒロインは可愛い方が良いだろって?
わかってないなあ・・・
アイアムアヒーローはね、絶妙に可愛くないからこそ良いのですよ、超絶美人とかメッチャ可愛いとこの作品のゲスい部分が映えないのです。
このゲスい部分ってのが僕のこの映画に対して不満のある所であって、それは後に語ります。
ここでは有村架純がこの映画にふさわしくない理由を語りましょう。
まず有村架純の演技が下手すぎ!
英雄がパンデミックに巻き込まれて命からが逃げてる所はスゲー気合入ってて世界観に浸れて最高だったんですよ。
なのに比呂美(有村架純)と出会ってからは「何このジャニタレとゴリ押し女優のやっすいドラマみたいなの」って気分になってしまって。。。
クッサイセリフの応酬と有村架純の某演技でゲンナリしてしまったんですよね。
ただ比呂美は半感染状態でほぼ喋らなくなるのでそれが救いでした。
ボロっクソに言っておいてなんだけど、やっぱり有村架純は可愛い。
猫缶食べられて怒ってる有村架純とか可愛すぎます。
ゲス成分が圧倒的に足りない!!!
(原作の藪、エロい!男前!可愛い!と僕はどストライクでした)
アイアムアヒーローはゾンビ漫画なんだけどその魅力はもう1つあるんですよ。
それは女性キャラが魅力的だということ。
花澤健吾の描く女性キャラって絵的にはそれほど愛いわけでもなければエロいわけでもないんです。
じゃあ何が魅力的かって言うと・・・異常な状況下に置かれたシチュエーション的なエロスや生き抜く逞しさがあるんですよ。
パンデミック系の映画ってゲスいやつは大抵女の子に対して良からぬことを考えるでしょ?
そんなゲスい欲望に晒された女性キャラって普段の5倍増しで可愛く見えちゃうんです。
(法の秩序から解き放たれた男がやることなんてみんな同じ。でも藪は恨みを持たずかと言って感傷的にもならない)
(長澤まさみの藪。the無難、こんなキャラ登場させても誰も得なんてしない)
今回の不満は圧倒的にゲスさが足りないせいで女性陣の魅力が皆無なんです。
長澤まさみはそれなりにいい演技をしていい仕事をしたけれどもまるで印象に残っていません。
でも原作の藪は読んだ人ならわかると思うけどすっげー女性らしく、生き抜く意志に溢れたキャラクターなんです。
それが映画ではどこにでもいそうなヒロインBに成り下がってるのが心底残念。
この映画せっかくのR15なんだからもっと攻めてほしかったのが正直な感想ですね、別に原作でエグいシーンがあるわけではあるまいし。
まあ、それが出来ない理由が色々とあるんでしょうけど。
雁字搦めの邦画業界
芸人や有村架純もそうだけど長丁場の演技に向いていない人達の配役が上手かったです。
演技のできない芸人は冒頭でいなくなるし有村架純は殆ど話をしません。
またお話を二時間でキッチリまとめ上げてるし原作ファンもそれなりに納得いくでしょう。
でも監督は本当にこれで満足なんでしょうかね。。。
メインキャストには大物か事務所押しの芸能人や俳優、脇役には必ず1人か2人は芸人か話題の人物をいれる。旬の俳優や大物には極端な露出や危険を侵させるな。
もう、これって今の邦画で当たり前になっちゃってるけど・・・こんなのツマンナイですよね。
長澤まさみが藪をやっていなければもっと原作らしくエグいエピソードを入れられたんじゃないの?
有村架純がヒロインをやってなければもっとキャラクターに深みを持たせられたんじゃないの?
序盤の芸人を無理に使う必要ある?
芸人って僕らは日常的に見ちゃってるからどうしてもそのイメージが強くて、映画に出てこられるとハッキリ言って萎えるんですよ。
仮に・・・配役にもう少し選択の余地があるのならもっともっといい映画に出来たのではないのかな。
そう考えると本当に邦画業界で映画を撮ってる監督って苦労してそうなだなって思います。
まとめ
最後は映画に関係ないただの愚痴になっちゃったけど、映画自体は結構面白かったです。
原作ファンでもそうでない人もま~楽しめるでしょう。
ただ映画を普段観ない人はZQNのビジュアルは結構エグいので注意かも・・・
しかし有村架純をあれだけ叩いといてなんだけど、猫缶のワンシーンだけで正直心わしづかみにされました。
あーいうのには弱いんです、有村架純可愛いです、ダメな大人です。
11巻までしか読んでないからまた大人買いしようかしら。
冒頭のパンデミックで街が壊滅していくさまはこれそっくり。
全てのゾンビ映画を過去のものにしてしまったと言われている大ヒットドラマ。
面白いけどもうゾンビ入らないよね。
アニメのゾンビって意外と珍しい、ゾンビは量産してなんぼだからもっとアニメのゾンビを量産してくれ。
これの実写化は是非アダルティーなおねー様達にお願いしたい。
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