ビー・デビル ネタバレ 感想
あらすじ
都会生活に疲れた銀行員のヘウォンは、子どもの頃に暮らした住民わずか9人の静かな島を訪れ、幼なじみのキム・ボンナムと再会。ボンナムは日常的に村の老人たちに重労働を強いられ、夫や男たちからも暴力を受けており、ヘウォンに助けを求めるが、ある日、恐ろしい惨劇が幕を開けてしまう。鬼才キム・ギドクのもとで助監督を務めたチャン・チョルス監督の長編デビュー作で、人間の絶望や憎しみを容赦なく描くバイオレンスサスペンス。(映画.comより)
予告
80点
絶望が人を悪魔に変える
ショッキング&バイオレンスとくればフランス映画と韓国映画と相場が決まっています。
その中でもこの「ビー・デビル」は絶望と解放のカタルシスが絶妙で僕はお気に入りなんですよね。
まあ、もれなく「二度と観たくないリスト」いりはしましたけどね。
ちなみにこの映画は3つの実際にあった事件を元に作られたという経緯があります。
その3つの事件とは以下の3つです。
・「キム・ブナム事件」
・「キム・ボウン、キム・ジンクァン事件」
・「密陽女子中学生事件」
調べてみたらどの事件も性的虐待が絡み中々の胸糞具合でした・・・
興味がある人はググッてみましょう。
ザックリとストーリー紹介
・銀行勤めでいつも張り詰めた表情をしているヘウォンは徹底的な事なかれ主義者である
・犯罪現場を目撃しようが傍観者のスタイルを絶対に崩さないヘウォン
・だがある日部下を勘違いで引っ叩いたことにより半ば強制的に休暇を取ることになる
・それで都会から離れたいので自分の生まれ故郷の島にもどってみる
・昔親友だったボンナムと再開したがボンナムは島中の人間(といっても10人もいない)に虐待されている
・ボンナムはヨニ(ボンナムの娘)が夫に性的虐待されていることを知り何とか島を抜けだそうとする
・しかし脱出は失敗に終わり暴行され庇おうとしたヨニが夫に突き飛ばされ頭を強打して死んでしまう
・警察がやってくるが当然島中の人間は口裏を合わせているので真相を離さない
・肝心のヘウォンも「寝てたから知らん」と言ってボンナムは絶望する
・島の人の虐待、娘の死により完全に何かが切れてしまったボンナムが島の人を片っ端から血祭りにあげる
・ヘウォンは島を脱出するがボンナムも追いかけてくる
・警察署まで追い詰めたボンナムだが止めはさせず返り討ちになる
・ヘウォンは家に帰り手付かずだったボンナムが送ってくれた手紙を読み返す
・そこにはヘウォンへの愛とも友情ともとれる言葉が溢れかえっていた
・改心したヘウォンは傍観者であることを止めて映画は終わる
苦痛のフルコース
ボンナムは島の全員からありとあらゆる暴行をうけていますがこれがもうハンパない。
言葉の暴力、肉体的暴力、性的暴力・・・って満漢全席もビックリのフルコースです。
一つ一つの暴力は他のバイオレンス映画に比べれば大したことないかもしれません。
でもそれを何年も受け続けていると想像すると精神への負担はとてつもないものです。
しかも島での肉体労働も一挙に引き受けてますからね。
どんなブラックな会社も裸足で逃げ出すレベルですよ。
もしこの世に地獄があるとしたら間違いなくこの島こそがその最果てでしょうね。
ボンナムの希望と絶望
ボンナムは上に書いたような暴力をいくらうけてもまるで何事もなかったかのように笑うんですよ。
その笑顔の痛々しさと言ったら・・・(´Д⊂ヽ
しかしボンナムのこの生きる力はどこから湧いてきているのか?
娘のため?もちろんそれもあるでしょう。
でも一番は幼いころのヘウォンとの輝かしき日々だったのではないでしょうか。
ヘウォンからすればボンナムは「何となく仲いいだけの友達」でしかなかったと思います。
それは幼少期にかばってくれたボンナムが男の子たちに襲われるのを傍観してることからも分かります。
というかヨニの件でも見て見ぬふりしてましたしね・・・
だけど小さいころから常に虐待され続けていたボンナムは友情の定義や形を知りません。
自分を虐待しないで遊んでくれているヘウォンはさぞや天使のように感じていたのでしょう。
だからヘウォンに対する思いって友情や愛情を超えていて神聖視すらしてたんじゃないですかね。
信じるものがあると人って想像以上の力を発揮できますからね。
しかしその信じるものすらまがいものだったわけなんですけどね・・・
そりゃ悪鬼羅刹にもなりますわ。
傍観者は悪か?
この映画のテーマは傍観者です。
チャン・チョルス監督も傍観者を意識して撮影していたそうです。
そしてヘウォンって傍観者でもあり僕らでもあると思います。
だからヘウォンは一貫して表情が乏しくセリフも少なく自己主張があまりないんです。
それに危険なことや自分に利益のないことにはてんで無関心。
多かれ少なかれ僕ら一般人ってこう言った部分を持ちあわせていますからね。
嫌な話だけど誰だって厄介事に巻き込まれたくないし怖い思いもしたくない・・・
しかしその傍観者にたつことは他の誰かを見捨てることにほかなりません。
その是非を問われているような気がしました。
ラストでヘウォンは傍観者をやめ当事者になる決意をしたのですがそれが本当に正しい答えなのか。
仮にあの決意で今後ヘウォンが報復され襲われでもした時に誰が「彼女は正しかった、彼女の行動に間違いはない」といえるのでしょうか?
オマケ
昔映画館で友達と時間待ちしていた時の事でした。
確かハムナプトラ3の映画だったかな~、映画の券を買ってから椅子で雑談してたら何やら慌しい様子でおばちゃんがこちらの方に向かって走ってきたんです。
そして「兄ちゃんあの2人止めてあげて!」って言ってきたんですよ。
なんだ?と思いつつ指差す方向をみてみたら・・・
なんと2人のおばちゃんがロッキーも真っ青などつきあいの喧嘩をしていたんです(ちょっと盛ってる)
僕は「警備員に知らせたほうがいいんじゃ・・・」って思いつつもかなり激しい殴り合いになってるのでまずいと思ってつい止めに入ったんです。
そしたらおばちゃんsからグーパンはもらうは引っかかれるわで散々な目にあいました( ;∀;)
幸いスタッフが駆けつけてきて事なきを得たんですけどね。
友達には「ほっときゃいいのに・・・」って言われたけど僕は傍観者になるべきだったのか?
でもほっとけばおばちゃん2人のどっちかがスタッフが駆けつける前にケガしてたかもしれません。
しかし関わったが故に自分がケガをしてしまいました(かすり傷だけど)
結果論ではあるけど結局世の中何が正しいかなんて紙一重だな~って思いましたね。
まとめ
ソ・ヨンヒの演技がとにかく凄い!!
前半の屈強に耐える女の強さ、後半の狂気の演じ分けが素晴らしい。
特に夫に腕を縛られて絶体絶命からの誘惑&ブスリは最高でしたね(味噌漬けもよかった)
彼女の演技をみるためだけでもこの映画を鑑賞する価値ありますよ。
ソ・ヨンヒがでてる実話ベースのお話。
僕は正直微妙でした。
イ・ビョンホンとチェ・ミンシクが素晴らしい。
インパクトはあるもののリベンジものとしてはイマイチでした。
ラストは結構いいです。
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