[守るべきは]ダウンサイズ ネタバレ 感想[現在か未来か]
あらすじ
ファミリー・ツリー」「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」のアレクサンダー・ペイン監督が、マット・デイモンを主演に迎え、人類が縮小可能になった未来社会を舞台に、社会風刺を交えて描くドラマ。ノルウェーの科学者によって人間の身体を縮小する方法が発見され、身長180センチなら13センチにまで小さくなることが可能になった。人口増加による環境、食料問題を解決する「人類縮小200年計画」が立ち上がり、一度小さくなれば二度と戻ることはできないが、それでも各国で小さくなること(ダウンサイズ)を選ぶ人々が徐々に増えていく。アメリカのネブラスカ州オマハでストレスフルな生活を送る、どこにでもいる平凡な男ポール・サフラネックは、少しの蓄えでも裕福で幸せな生活が遅れるという縮小された世界に希望を抱き、ダウンサイズを決意。しかし、土壇場で妻のオードリーが逃げ出してしまう。ポールは縮小された人間たちの世界で、ひとり寂しい生活を送ることになり、自暴自棄になるのだが……。(映画.comより)
予告
75点
人生を豊かにするのは結果ではなく選択である
だいぶ前に観た映画ですので、ちょっと忘れてる部分もあるがぶっちゃけ細かいところを覚えてなきゃいけない作品でもないです。
ぶっちゃけ全体のテーマも曖昧だし、かなり人を選ぶ映画ですからね。
一緒に見たのりたまなんて「何がいいたいのかもわからないし面白くない」と酷評してましたからね。
僕も映画としてはすげー面白いかって言われたらそんなこともないし、かといってつまらなくもなかったです。
ただホン・チャウの強烈な個性により、この映画は僕の中では忘れられない作品になったんですよね。
それにマットデイモンや脇を固めるクリストフ・ワルツなど、彼らのコミカルかつ渋みのある演技はやっぱ安心感と安定感がありますからね。
それに友達と色々と語れる映画なんですよねコレ。
観た後は色んな人と意見の交換をしたくなると思うので、そういったお話が好きな人は視聴後に議論が白熱すること間違いなし!
目次
ザックリとストーリー紹介
・長らく資源の枯渇に悩んでいた人類は「ダウンサイズ」によって克服することになる。
・ダウンサイズすれば裕福な生活、豊富な食料、労働なしで生きていける夢の国が待っているのです。
・仕事と将来に不安ばかりなサフラネック夫妻もそんな世界に希望を見出し、ダウンサイズを決意。
・しかし土壇場で奥さんは逃げ出し、怒りと絶望と虚無感に支配される夫ポール。
・自堕落な生活を続けつつも前に進む為に、新しい女性とデートしたりする中、ベトナム人のお手伝いさんのノクラントランに出会います。
・そしてノクを通してダウンサイズの世界にも階級差があることを知ることになります。
・だがそんな階級差を乗り越え、懸命に生き、不格好ではあるものの献身的な世話をするノクに特別な感情をいだき始めるポール。
・そんなある日、遊び人のドゥシャンの発案でダウンサイズの提唱者ヨルゲンと初代ダウンサイズ達へと会いに行く事になりました。
・そこでヨルゲンから「人類はまもなく絶滅する」と言われ、更には生き残れるのはここに建設されたシェルターのみだという衝撃の真実を知らされる。
・シェルターに入り人類を再建しなければ・・・と思うポールに対し、ノクは守るべきは目に見えない未来ではなく、身近な住人だと言う(ドゥシャンはヨルゲンがイカれていると思ってる)
・シェルターの入居最終日にポールはノクと別れを告げシェルターに入っていくが、何かを思い直し者ルターを飛び出しノクの元へと戻る。
・ポールはノクと町に戻り、貧困層の人々の世話をしながらEND
凡人ポールから学ぶ生きる事の意味
(天才にも凡人にもなりきれちゃうマット・デイモンって本当すごい)
恋愛、仕事、趣味、大きく分ければこの3つがな人の一生を構成する大部分じゃないでしょうか。
今作の主役ポールには恋人(ていうか奥さん)もいて、仕事もあり、友達とビールをかっ喰らう趣味の時間もあり、決して裕福ではないものの見方によっては恵まれた人間なんですよね。
でも人ってのは欲深い生き物なんですよね~、ある程度持っていようがもっとほしい、更にほしいと願ってしまうもの。
おっきな屋敷に住んで、優雅に暮らしたいし、逆に食うものに困り、満足行く老後を過ごせない質素な暮らしになるのも嫌なんです。
でもポールは自分の収入では少なくとも大きな屋敷に住むことは無理だし、運が悪ければ老後も危いと思ったんでしょうね。
人間であれば誰でも抱く欲望と不安、ポールはその欲望を満たすため、不満をかき消すためにダウンサイズに希望を見出すわけだが・・・。
問題は凡人ポールは中途半端な生き方しかできなかった事にあります。
だからダウンサイズして老後の不安がなくなったのはいいが、代わりに不満(やることがない、暇、生きがいがない)が増えちゃったんですよね。
何故ならポールにはパリピのドゥシャンみたいに頭を空っぽにし欲を貪り食らうことも、ノクみたいに今日を生きるために、友達を守ることに、命を張ることもできないからです。
そんな凡人ポールだから悩み苦しみ、そして世間に流されてしまうのです。
ダウンサイズをしたのも、皆やってるから、幸せになれる方法だから、シェルターに入るのも有名な博士が人類は滅亡するというから。
何から何まで流されっぱなしのポールだからノクをろくな覚悟もなしに抱いちゃって、「おまいはどんな気持ちで私を抱いたんだね?」と8つのフ○ックを交えて論破されちゃうんですよね。
でもそんな凡人ポールも最後の最後に自分の意志で選択をして幸福を掴み取る事ができたのです。
それはノクへの『愛』というありきたりかもしれないけど、確かな幸福でした。
ポールの選択は正しかったのか?
(今までの人生でも確固たる意志で決断してこれたのなら、奥さんに裏切られなかったのかな?)
この映画のテーマは差別、格差、社会風刺といった小難しい要素が多分に含まれていますよね。
でもそんな事はどーだっていいんです(いや、良くはないんだけど)、結局映画を観てて皆がいちばん気になるのポールの選択肢の是非なんですよね。
ラストの選択はつまるところ未来(人類)を守るために生きるか、愛(ノク)を守るために生きるかって話なんですよ。
死んでしまえば人はそれまで、だからシェルターに入って生きればきっとノク以外の誰かと結ばれることもあるでしょう、命あっての人生ですからね。
でも目の前の愛する人を失ってまでそれはするべきことなのか?これって難しい課題ですよね。
ただ大事なのはどっちが正しいのかではなく、、、ポールが自分の意思で選択をできたか、そしてその選択を全うできるかにあるのです。
流されて選択して嫌々生きていたのが、ダウンサイズ前のポールなんです、そりゃ、奥さんにも逃げられちゃいますよ。
でも最後は『愛のために自分の意思で選択できた』のだから、敢えてこの問題の是非を問うのならばポールの選択は正解だと思いたいですね。
だって「もし明日世界がなくなっても君といたい」だなんてロマンチックじゃないですか。
科学(理屈)は明日の暮らしを豊かにするが、愛(心)はその日の心身を満たすのです。
だからポールとノクのラストの幸せそうな表情を観てると、これなら別に明日地球滅んでもいいんじゃないのかなとも思えたりしちゃいますね。
ホンチャウとのラブロマンスものとして見えればいいじゃない
(正直マット・デイモンとのラブシーンでキュンとするとは思わなかったし、そもそもあるとは思わんかった)
色々と考えさせられる映画ではありますが、別に考えなくたって楽しめるようにもなってます。
ホンチャウ演じるノクの拙いながらも心にグサグサ刺さる英語を聞いてるだけで得るものがあると思えますもの。
彼女とのラブシーンは個人的には『ロマンチックなラブシーンベスト10』に入れられるくらい素晴らしいですよ。
最初は自分勝手で小汚いおばさんにしか見えない(超失礼)のに、後半からはキュンキュンするくらいノクが可愛く見えちゃうのだからね。
他にもマットデイモンの不甲斐なさとかシュールな笑いとか、相変わらず怪しさ満点のクリストフ・ワルツの不気味な演技とかお楽しみポイントは満載なのです。
個人的にはマットデイモンが奥さんに裏切られてブチ切れているシーンが、シュールな笑いを誘っててよかったですね。
まあ、自分がされたらと思うと絶望的に笑えないのだが・・・。
役者に助けられている部分多し
あれ?低めの点数をつけたつもりなのに褒め倒してしまった気がする。
いや、実際に考えさせられるし、役者さんは素晴らしいんですけどね。
でもやっぱり全体を通してみると微妙な部分もあるわけなんですよ。
ぶっちゃけ最初はこの映画をコメディかホラーだと思って観に行ったからわりと途中はダレちゃったんですよね。
それに小さくなることによるギミックも殆ど無いし、単調であくびの出そうなロードムービーだと感じなくもないんです。
社会風刺と哲学的なものによったせいでエンタメ性はかなり失われちゃってはいるんですよね。
まあ、脚本は個人的にはかなり微妙なので、役者ありきの作品と言えるのかもしれませんね。
まとめ
ホンチャウを知らない人にはぜひ観てほしい作品ですね!
彼女を観てると前向きな気持に慣れるし、マットデイモンとの絡みは面白いしなんかホッコリするし可愛いのです。
決して万人にオススメできる作品ではないけれど、心に何かしら刺さる部分はあると思うのでよければ観てください。
小さくなるといえばやっぱコレですよね~。
言わずとしれた名作。
アントマンでアリが好きになった人が見ると幸せになれる。
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