[人体改造シリーズ]Mr.タスク ネタバレ 感想[入門編]
あらすじ
人間とセイウチの融合を目論む老人の狂気を、「クラークス」「ドグマ」のケビン・スミス監督が描いたホラー。ポッドキャストを運営するウォレスは、航海の話を聞いてほしいという老人の家を取材のため訪れる。ハワードと名乗るその老人から手厚いもてなしを受けたウォレスだが、出された紅茶に睡眠薬が含まれており、気を失ってしまう。目が覚めると足の感覚がなく、パニックに陥るウォレスに対し、ハワードは「これから君はセイウチになるんだ」と告げる。一方、消息を絶ったウォレスを心配し、友人のテディと恋人のアリーがウォレスの足跡をたどっていた。(映画.comより)
予告
80点
センスはいいが、ゲテモノにしては薄味
人はなぜ人体改造をしたがるのだろうか。
「それは人が不老不死を求めているからだ」と口の裂けた変態は言っていた。
だがそんな俗物的な考えに囚われない人間もいる。
ハイター博士は資源の枯渇による食料問題を解決するため、ムカデ人間を創造した。
そしてMr.タスクのハワード爺さんは愛のためにセイウチ人間を創造したのだ。
ってことでゆでたま映画ブログ復帰第一弾のレビューは『Mr.タスク』です。
なんで今さらこれなんだよ!ってツッコミもあるでしょうけど、B級ホラーってのは荒んだ心を癒やし、嫌なことを忘れるための貴重な時間を与えてくれるものなのです。
そんなB級ホラーを少しでも多くの人に堪能していただくために、こうやって草の根運動をしていくのが当ブログの目的ですからね(後付設定)
ザックリとストーリー紹介
・ポッドキャストをやっているウォレスは動画で自分の足を切り落としてしまった「キルビルボーイ」の取材に向かっていた。
・しかしキルビルボーイは世界中の笑いものになったのを苦に自殺。
・取材相手を失ったウォレスはバーでやさぐれていたら、トイレで面白い話を聞けそうな爺さんのメモを見つける。
・早速爺さんの所へ向かいハワードと名乗る爺さんの話を熱心に聞く。
・だがハワードの話を聞いていると強烈な睡魔に襲われて、眠ってしまう。
・目を覚ましたウォレスは片足を切断されていることに驚き、更にハワードの異常さにも感づく。
・スマホで恋人のアリーとポッドキャストの相棒テディに助けを呼ぶもハワードに気づかれ失神させられる。
・次ぐに目を覚ました時ウォレスはハワードによってセイウチ人間へと改造されていた。
・腕は体と縫合され、舌は切り取られ、両足は切断され、話すことも動くこともままならないウォレス。
・そんなウォレスにハワードは人間の愚かさとセイウチへの愛を語り、ウォレスにセイウチになるように諭す。
・一方ウォレスの電話を聞き、救出に向かうアリーとテディは警察に駆け込むも話を聞いてもらえない。
・だが途方にくれていた二人はハワードを長年追っている刑事ギーの協力の元、ハワードの屋敷を特定することに成功する。
・同時刻、ハワードはウォレスとセイウチファイトをしていた。
・セイウチへの愛を語るハワードに、ブチ切れたウォレスはセイウチの牙を使ってハワードを突き殺し、ハワードは満足そうに逝った。
・それと同時にウォレスのもとに辿り着く、アリー、テディ、ギー、の三人はウォレスの姿に驚愕する。
・後日回収されたウォレスは山の中の一角で飼われていた。
・仲良さそうなテディとアリーに涙を流すウォレスをバックにEND、、、
・と思いきやエンドロール後に「こんな話し合ったら受けるな」という話声と、ギーの「食いすぎた」の一言と共に今度こそEND
ジョニー・デップ親子が出演
(ローズデップちゃん画像右とジョニデの共演にほっぺが緩みます)
この作品ではジョニー・デップとその娘のリリ=ローズ・デップが出演しています。
ジョニデはメイクが濃ゆいので所見だと気づかないけど、独特の話し方や吹き替えなら声優さんで感づく人も多いかもしれませんね。
何かとお騒がせでやんちゃなジョニデも娘は可愛いんですかね~、一緒に出演しているのを見るとなんとなくホッコリします。
ウォレスがクズなので心がそこまで傷まない
(今までの悪行を思えば・・・ってそこまでの悪行はしてない気もする)
さてこっからは本編のお話を・・・。
この作品ではウォレスが散々な目に会い、最悪な結末を迎えるわけだがそこまで心は痛みません。
なぜならウォレスくんは『他人の不幸をネタ』にお金を稼いでいるからです。
キルビルボーイが自殺したときなんかは『後一日待ってからシネよ!』なんて愚痴ってましたからね~、他者の痛みなんぞどこ吹く風。
しかも自分の彼女をカナダに連れて行かない理由が「浮気したいから」と全世界の女性を敵に回す発言に、もはや同情の余地なし。
にもかかわらず自分の損得となれば、ウォレスくんは激しく憤るので・・・ある意味では人間の欲に忠実な人間とも言えますな。
そんなウォレスなので酷い目にあっても『因果応報』、『撃っていいのは撃たれる覚悟うんぬんかんぬん』と思えちゃうのです。
でも意外と嫌いになれないウォレス
(☓☓☓してもらえて至福の表情のウォレス。男性なら誰でもこうなります、ハイ)
そんないわゆるクズ男なウォレスなのだが、不思議と嫌いになれません。
人の不幸を笑いのネタにするわ、浮気発言を平気でするわとヒジョーに倫理観にかけた人間なのだが、別に根っからの悪人でもないんですよね。
むしろ人間らしい人間というか小物感がむしろ心地良いんです。
だってウォレスは欲望に忠実かつ、ストレートに言葉として表現しているだけでウォレスみたいな考えって大なり小なり誰にでもあるわけですからね。
変に共感しちゃったというか笑っちゃったのが、アリーとのイチャイチャタイムで「発射させてもらない」と不機嫌になっちゃうとことか、コイツちっせーなーと思いつつ「でもわかるんだよな」っていうね。
まあ、僕としては愛の営みってのは自己中心的なものより、互いを思い合うほうが100倍楽しいし、100倍気持ちいいもんだと思うわけだが・・・ってそれはまた別のお話ですな。
セイウチになってからがちょっと大昧
(ジョニデが出てた割には後半の展開はイマイチなのです)
この映画は後半からは色々と失速気味。
まず1つ、『とにかくウルサイ』。
突然セイウチにされたウォレスからすればそりゃ叫びたくもなるが、セイウチになってからウーウー唸るシーンが多すぎるんですよね。
話せないから唸るしかないのはわかるが、もーちっと他にやりようはなかったのか・・・と。
その2としては、ハワードとの決着がイマイチ。
ハワードの偏執的なセイウチへの愛はわかるんです。
そりゃ、愛するものを食らった後悔だとか、生死の境を彷徨ってからの生還への快楽だとかの思い入れが彼をセイウチ製造職人へと変えたのでしょう。
でもそのどれもフラットな演出で終わってるのがな~。
なんか映画の後半は「面白いオチ思いつかないから駆け足で終わらしちまうか」ってのを感じるんですよね。
その3としてはジョニデ絡みが微妙。
カメオ出演のわりには出番多すぎるし、シークレット出演にしては役どころに意味がない。
「大物だし、とりあえず出番増やすか!でもどう使えばいいんだろう・・・」って迷った末に無駄に出番だけ増えて、本筋にほとんど絡まなかった結果になってしまった感じなのが残念。
ジョニデがよっぽど好きでもなければ後半のジョニデパートは蛇足に思えてしまいますね。
結局何年も追っかけてたのにハワードと顔合わせすることすらなかったわけですしね。
まとめ
Mr.タスクはムカデ人間みたいな鋭く尖ってないので、良く言えば軽い気持ちで観れるが、悪く言えば大味でみた後に何にも残りません。
ただそれでも発想は面白いし、ウォレスの人間味あふれるキャラは好きだし、セイウチになるまでの流れは凄く好みですね。
なので『過程を楽しめれば満足』な人には凄くオススメできる映画と言えます。
1作目は初心者向け、2作目は超上級者向け、3作目はファンサービス。
1作目以外は結構グロいので覚悟してみるべし。
ストーリー性、世界観、恐怖、様々な面で最高の映画です。
ホラー映画好きなら一度は見るべし。
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