[答えを見つけられる]哭声(コクソン) ネタバレ 感想[人はいるのか?]

哭声/コクソン [Blu-ray]

あらすじ

「チェイサー」「哀しき獣」のナ・ホンジン監督によるサスペンススリラー。平和なある村にやってきた、得体の知れないよそ者の男。男が何の目的でこの村に来たのかは誰も知らない。村じゅうに男に関する噂が広がる中、村人が自身の家族を虐殺する事件が多発する。殺人を犯した村人に共通していたのが、湿疹でただれた肌に、濁った眼をして、言葉を発することもできない状態で現場にいることだった。この事件を担当する村の警官ジョングは、自分の娘に殺人犯たちと同じ湿疹があることに気付く。娘を救うためにジョングがよそ者を追い詰めるが、ジョングの行動により村は混乱の渦が巻き起こってしまう。警官ジョング役にドラマや映画の名脇役として知られ、本作が初主演となるクァク・ドウォン。國村隼がよそ者の男を演じ、韓国の映画賞・第37回青龍映画賞で外国人俳優として初受賞となる男優助演賞と人気スター賞のダブル受賞を果たした。(映画.comより)

予告

 

75点

事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけであるbyニーチェ

巷で超絶評判が良くて(多少賛否両論な所はあるけれど)前から気になっていた作品です。

そんで映画を鑑賞した感想としては「点数つけづらいし評価しづらいし解説もしづらい映画」です。

ぶっちゃけウルトラ消化不良で終わっちゃうので、純粋なサスペンスで解決のカタルシスを味わいてぇ!って人には向いていません。

ただ映画の熱量というか勢いは半端ないし、厳密に言えば消化不良かどうかは人によるんで、一見の価値はありありなのです。

まあ、基本的に人を選ぶ映画なのは間違いありませんけどね。

さて言いたいことは沢山有るのですが、とりあえずいつものからいってみましょう。

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ザックリとストーリー紹介

・ある村で謎の家族内での殺人が度々おきていた。

・凶行に走った家族はみな皮膚がただれて濁った目をしており、「ゾンビ」のように見える。

・駐在の巡査部長であるジョングはこの事件を調査していくと、いつからかいる日本人に行き着く。

・そこで日本人の住居を探すとジョングは自分の娘のヒョジンの靴を見つけてしまう。

・その日を境にヒョジンは村人のようにゾンビ化が始まってしまう。

・そこで家族はこのゾンビ化の現象を呪いだと思い、祈祷師を呼ぶことにした。

・到着した祈祷師は「これは悪霊の仕業だ、そしてあの日本人こそが悪霊そのものだ」と言った。

・ジョングは悪化していくヒョジンを見かねて日本人を仲間とともに殺しにいってしまう。

・ギリギリまで追い詰めるものの逃げられてしまうが、何故かジョングはその帰り道で日本人が車にぶつかって来て死ぬ。

・結果オーライということでジョングたちは日本人を崖から投げ捨てる。

・一時は良くなったヒョジンだったが、突如としてまたぶり返してしまう。

・そこでジョングはある女に「日本人と祈祷師はグルだ」と言い、ジャングに「鶏が三回泣くまで家に帰ってはいけない」と言う。

・だが祈祷師は「日本人は悪霊ではなかった、悪霊はその女だ」という。

・そして死んだはずの日本人を探しに来ていた神父は日本人に「お前が悪魔だと思うのなら悪魔なのだろう」という。

・誰を信じていいかわからなかったジョングは結局女の忠告を無視して家に戻ってしまう。

・そこでジョングは娘が家族を殺した姿を発見してしまう。

・意気消沈になったジョングを傍らに祈祷師は死体の写真をとってEND

キリスト教の要素がモリモリ

(一人だけ日本語なのに違和感を感じないくらい馴染んでいました)

この映画にはキリスト教の要素が沢山あるんですよ。

例えば鶏三回ってやつはイエス・キリストのお話だし、日本人の手に聖痕があったり言ってることがまんまイエス・キリストのセリフだったりね。

まあ、これらは他のブログの感想を見て知ったんですけどね。

ただ僕は昔キリスト教をやっていたことがありして、中学生の頃から三年くらいかな?

毎週土日にキリスト教のお兄さんと聖書のお勉強をしておったのですよ(集会とかも行った)、その時にこういったキリストのエピソードを勉強したのを映画を観て思い出しました。

当時も今も僕はあまり宗教って柄ではなく、「祈る手と時間があるなら現状を打破する為に時間と手を使う」ってのが信条でして、しょっちゅうお兄さんに食ってかかる質問をしてましたね。

例えば「神様が万能で未来を見通せるのならなんで怒ったりするん?そもそもアダムとエヴァが禁断の実に手を出すのだって見通せたんでしょ?人が罪を犯すと言う未来を知りながらキレるって矛盾してない?」って感じで一休さんじみた質問をガンガンぶつけてましたよ。

でもお兄さんはブレることなく「神様ってそういうものなんですよ~」って答えてました。

ま~、こんな風に神様に疑問をいだきつつも集会で皆で歌歌ったりとか交流を深めるのは以外と嫌いではなかったんですけどね。

ただ部活がメッチャきつかったんで、お兄さんの話を聴きながら寝たりしてる内に勉強もしなくなりいつの間にか疎遠になっちゃいました。

宗教は特にやりたくないけれども、あのお兄さんとはまたあって昔のお礼を言いたいものです(一緒にゲームとかもしたりしたしね)

 

あ、メチャクチャ脱線しちゃいましたね。

さてどうでもいいお話はおいといて、こういったキリスト教の教えを盛り込んだ理由は何か?

それはこの映画の真実に辿り着くための答えが、キリストの教えにある・・・って思わせる為です。

え?じゃあキリスト的な演出は全部無意味なの?って話ですよね。

うん、多分無意味。

ってのは言い過ぎにしても無意味ではないけれど、キリスト教要素がそのままこの映画のメッセージとは僕は思えませんでした。

❝解❞が存在しない映画

(石投げてるシーンが可笑しくてでもちょっと可愛かったですね)

難解で複雑そうに見えてこの映画の本質はシンプル。

問題点はただ一つ・・・「誰が犯人か?事件の根源はどこか?」です。

素直に見れば全ては毒キノコのせいだったという科学的な結論、もしくは日本人と祈祷師はグルで超常現象オチでしょう。

少し深読みするのならば神のいたずらと言った哲学的なお話ですね。

ではどれが真実なのでしょうか?

そこで僕の出した答えは・・・「どれも真実ではない」です。

だってキノコが元凶だとしてもちょっと納得いかない所もあるし、オカルトが元凶にしても納得いかない所があるんですよ。

どちらを答えにしたとしても映画の中で矛盾を抱えているように思うんですよね。

例えばキノコのせいならば2人の祈祷師の存在と行動に納得いかないし、逆に二人の祈祷師がグルで真犯人であったのだとしたら祈祷師と日本人の言動に違和感を感じます(女は日本人と祈祷師がグルで元凶だというが、それでは祈祷師が日本人に殺を行ったという矛盾が生じる)

かと言って哲学的で壮大な「全ては釈迦の手のひら」みたいなオチはなんか違う気がします。

なんか違うって何だよ!根拠はないんかい!って言われると困るけれども、あえて言うのなら映画に漂う空気とかで違うと感じたとしか言えません(ようはフィーリング)

と言うかパッケージにもありますしね、疑えって。

なので全力で疑った結果「答えなんかないやろこの映画!」になったのです。

❝答えが存在しないという事が答え❞だと思う理由と監督の目的

(盛大なゲロはエクソシストリスペクトかな?)

この映画って観てて変なんですよ。

何が変なの?って言われると上手く説明できる自信はないけれども、この映画には製作者側の意図というか監督の言いたいことが透けて見えるんですよね。

それはなにかって言うと「見えたものが真実とは限らない、信じたものが嘘かもしれない、そもそも答えは解釈次第でどうとでもなる」ってメッセージなんですよね。

科学的な原因になりえるキノコ、オカルトじみた現象を巻き起こす祈祷師、韓国にたった一人で尚且つ悪魔役という政治色の強い日本人。

サイエンス、オカルト、社会派、これらの素材をサスペンスという鍋へとぶち込みつつも、根本的な部分はホラーとコメディです。

後半はシリアスな展開になってはいるんだけども、悲壮感だとか悲劇的な雰囲気って不思議とありません。

それは登場人物によるあからさま過ぎるフラグだったり、あからさますぎる意味深な行動のせいで、悲しい出来事よりも謎に脳ミソを全て持っていかれてるからなんですよね。

ようはホラーとコメディを基盤にして、どんでん返しやミスリードを誘える要素や政治色が強く見えそうな要素といった「様々なそれっぽい罠」を設置することで、視聴者を雁字搦めにしようとしてる監督の意図が見えるんですよね。

だから答えという的を絞りきれないこの映画において、これらの意味するものは「答えはお前次第・・・って見せかけて、実は答えなんかないけどねテヘペロッという事なんですよ。

そんでこの「答えが無いという答えを導き出す事すらも監督の予想の範疇」なんじゃないかな~。

ようは監督の目的ってアレコレ考えさせたいってことなんじゃないんでしょうか?つまり答えを導き出させることそのものが目的みたいな。

面白いけど答えはください

色々と妄想できて面白い映画ではあるのですが、正直答えは欲しいです。

基本的に僕は「お前らの中にそれぞれの答えはあるぞ」って映画って好きではないんですよね。

感動系とか哲学的なメッセージの映画ならそれでも全然良いんだけれども、曲がりなりにもサスペンスなら答え合わせしたくなるのが人情ってものでしょう(人情の使い方おかしい)

でもこの映画ってラストで謎を投げっぱなしジャーマンしてるんだけど、それでもそりゃダメだよ!って言い切れないのが悔しいんですよね。

実際この映画の熱量は凄まじいし、2時間30分っていう長丁場にも関わらず全然長く感じなかったですからね。

更に謎を投げっぱなしになってるのに漠然とした何かを感じたってのは確かだし・・・。

うーん、それでも観終わった後に「何となく言いたいことはわかる!でも違うかもしれない・・・」って何か歯の奥に詰まったものが取れたんだか取れてないんだかって気分になっちゃうのはな~。

いや~、なんでも答えを求めたがるのは良くないことかもしれませんけどね。

散らばった謎のまとめ

この映画は色々と謎が散らばってるけど明確な答えはありません。

僕は答えがないという結論を出した(理解するのを諦めたとも言う)ので、散らばった謎は意味はあるけどフェイク(意味がないわけではないが答えには直結しない)だと思っているんです。

という事で劇中の散らばった謎の欠片を整理しておきます。

・謎の女って何もんなの?

・祈祷師の本当の目的は?

・日本人の正体は?

・謎の女が犠牲者の服を着ていたのは?

・祈祷師のセリフである「餌を飲み込んだ」の意味は?

・日本人は生きていたのか?幻影なのか?

・ゾンビ化の原因はキノコなのか?オカルトなのか?

・最後の写真撮影の意味は?

こうやって改めて見ても謎に次ぐ謎で、納得いく形で明確な答えを出せそうなもんが一個もない気がします。

う~ん、やっぱどれもこれも胡散臭すぎて全てがフェイクに見えちゃいますね。

まとめ

ま~、何とも不思議な映画でした。

とにかく色んなジャンルがごちゃ混ぜも良い所です。

なのに映画としての体裁を保てているどころか、訳のわからん深みまで出しちゃってますからね。

特に村社会特有の空気とかコミカルさとかは怖さと面白さが同居してたし、後半からのもう誰も彼も信用できね~っていうあの感じは本当に面白いです。

ただハッキリとした答えがない(もしくは見つけ出せていないだけかもしれないが)なのがやっぱりモヤッとはしますね。

自分なりに答えを出すのは嫌いではないけれども、やっぱり答え合わせしたくなっちゃいます。

まあ、この映画に関しては色んな映画ブログで解説をされているので回ってみるのがいいですね!

 

この映画に近い気がするアニメ、途中まではメチャクチャ面白いです。

ただラストのまとめ方は最低レベル。

評判はとてもいいのだけれども個人的に普通な作品。

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