[良き]グッドネイバー ネタバレ 感想[隣人]
あらすじ
「ゴッドファーザー」シリーズのベテラン俳優ジェームズ・カーンが、意外な素顔を隠し持つ孤独な老人役を怪演したサスペンススリラー。ショーンと友人のイーサンは、近所のひとり暮らしの老人宅に忍び込んで隠しカメラを設置し、ドッキリを仕掛けることに。ドアを急に開閉したり突然音楽を流したりして老人の反応を楽しもうとするが、老人は驚く様子を見せないばかりか、不可解な行動を取りはじめる。老人が頻繁に地下室に出入りしていることを不審に思ったショーンたちは、そこに老人の妻の死の真相が隠されているのではないかと疑うが……。ショーン役を「イット・フォローズ」のキーア・ギルクリスト、イーサン役を「ゾンビワールドへようこそ」のローガン・ミラーがそれぞれ演じた。(映画.comより)
予告
100点
愛の条件付け
ネットで評判が良いのでず~と観ようと思って観てなかった作品です。
そして最近ついに観てみたわけですが・・・「なんでもっと早く観てなかったんだ」と後悔するくらい面白かったです!
この作品はですね~、うーん説明するのが勿体無いんですよね。
個人的にはかなりオススメの作品なのでこの記事のネタバレを観る前に是非鑑賞していただきたいと思います。
そんでは視聴済みの方はいつもどおりのストーリーを振り返る所からどうぞ!
目次
ザックリとストーリー紹介
・ティーン・エイジャーであるイーサンとショーンは実験のために、あい向かいに住んでいる陰険で偏屈な爺さんのグレイニー宅にビデオカメラを仕掛ける。
・怪奇現象を起こしてグレイニーの変化を研究しようとするのだが、グレイニーは全く動じない。
・グレイニーの行動に不可解な物を感じた二人はグレイニーがたまに地下から帰ってこないことに興味と恐怖を感じる。
・ある日猫によって設置した隠しカメラが倒れてしまいイーサンはグレイニーの家へと侵入する。
・そして好奇心で地下に降りていき、ベルを手にとってならしてしまう。
・ベルの音で起きたグレイニーから逃げるように隠れるイーサンだが実験のためにベルをグレイニーの見える所へおいてしまう。
・ベルを見たグレイニーは少し考えた後その場を去り、銃を手に戻ってくる。
・イーサンは自分が隠れているのがバレたと思い、グレイニーは銃を構える。
・だがグレイニーはその銃で自分の頭を吹き飛ばしてしまう。
・謎すぎるグレイニーの行動にテンパるイーサンとショーンだが、すぐにその場からカメラを回収し逃げようとする。
・だが銃声を通報されやってきた警官に取り押さえられるイーサンとショーン。
ここから完全ネタバレ
・実はグレイニーが自殺したのはベルの音に反応したからである。
・イーサンの持ち出したベルは生前の妻が病気で苦しんでいたために、大声を出さなくてもいいようにとグレイニーが買い与えたものであった。
・つまりベルの音を聞いたグレイニーは死後の妻に呼ばれたと思い、自殺することによって妻の元へと向かっていったのだ。
・イーサンとショーンは非人道的な実験をしたために裁判にかけられていた。
・裁判官の気持ち的には終身刑レベルの罪だが、未成年かつ殺意はなかったので500時間の社会奉仕と2年の保護観察処分で裁判は終わる。
・裁判所を出た所でショーンは家族に連れられて去るが、イーサンは多数のマスコミに囲まれて不吉な笑みを浮かべてEND
ミスリードが上手い!
(イーサンの嘘の通報で絶対犬と主人ヤベーと思ったけどこれもミスリードでした)
この作品はいくつか視聴者を欺くためのミスリードがあるんですよね。
例えばイーサンの親父とグレイニーとの関係。
イーサンの親父は所謂DV親父だったので、まだ妻が生きていて優しかったグレイニーはイーサンと母親を助けるために色々と親身になってくれていた。
でもそのせいでイーサンは実の親父と離れ離れになってしまう(イーサンと親父は仲がそんな悪くなかった)
なのでイーサンの逆恨みでグレイニーをいじめているように思わせています。
でも実際はイーサンにはグレイニーへの恨みなんてなく、ただ有名になりたいだけでグレイニーを利用して刺激的な動画をとろうしていたんですよね(多分)
他にもグレイニーと看護婦さんのワンシーンがカット挿入されたりするのもいい意味で紛らわしい、それに生前の妻がうつ病かな?なんて思わせてるのもうまいですし。
映画の途中途中で時系列が現代へ遡るのもいい具合にミスリードを誘っていましたね。
グレイニーは何故心霊現象に驚かなかった?
(最初は悪ガキくらいにしか思わないけどラストまでみると憎たらしい顔をしておる)
これは映画の冒頭の説明である条件付けに近いものがあります。
網戸や音楽だけでなく恐らくどんなイタズラをしようとグレイニーは驚くことはなかったでしょう。
だってあの家には亡き妻との思い出が星のようにあるんですから。
そんな場所でいくら心霊現象を起こそうがグレイニーは妻との思い出に繋げてしまうでしょう。
それはグレイニーが妻との思い出の中で時が止まってしまっているからなんです。
少し余談になりますが、僕も昔飼っていた犬が亡くなって1週間位落ち込んでいました。
そしてある日突然家に仕事で帰ったら犬の鳴き声が聞こえた気がしたんですよね。
でもそれは恐らくただの幻聴でしかなかったと思います。
こんな風に激しい悲しみに囚われると人って普通見えないもの聞こえないものを自分の都合のいいように解釈してしまうんですね。
グレイニーも同じだったんだと思います。
様々なイタズラはただの心霊現象ではなく「妻が帰ってきた」とグレイニーが解釈するには十分なものだったんですよね。
グレイニーにとっての幸せは・・・
(愛する人を失ったグレイニーに「生きて」幸せになる方法はすでになかったのかもしれない・・・)
基本的にイーサンとショーンは許せません、イーサンは言わずもがなショーンだって相当ムカつきます。
だってラストの判決でほぼ無罪放免みたいな内容に心底安心しきってるんですからね。
コイツらには罪を償う気なんてサラサラないんですよ。
でもかといってグレイニーにとって今回の事件は本当に不幸だったのかと言われると正直わかりません。
あのままグレイニーが誰とも関わらず一人孤独に死んでいくのはそれはそれで悲しいものです。
ならば最後に妻の存在が仮にイタズラであろうと何であろうとグレイニーにとってそばにやってきんだと思わせられたのなら・・・?
嘘も方便とはいいますが、グレイニーにとって自殺して妻の元へ逝くの1つの幸せと呼べるのかもしれない。
少なくともベルで呼ばれたらあの世にまですっ飛んでいってしまうと愛していたんですからね。
幸せの定義は人それぞれ違いますけど、この結末は僕の中ではグレイニー爺さんにとっては幸せであると思いたいですね。
イーサンのラストの笑みの意味は?
普通に考えればイーサンはこう思っているでしょう。
「ついにオレが有名になれる時がきた、これはチャンスだ!」
イーサンは手段を選ばないで有名になろうとしていましたからね。
ただ物凄く深読みすればグレイニーを本当に親父の一件で恨んでて、復讐が成功した上に自分がビッグになるチャンスまでやってきた・・・と解釈できなくもないです。
どちらにせよ今回のお話はイーサンの大勝利という非常に後味の悪いものになってはいるんですよけどね。。。
まとめ
色々と考えさせられるいい映画でした。
サスペンスとしてもホラーとしてもヒューマンドラマとしても実験ものとしても胸くそ系としても優秀という微塵のスキもない映画です。
個人的には今年最高傑作か!?なんて思うくらい面白かったですね~、タイトルの「良き隣人」ってのがまたニクい!
あ、ちなみにこの映画に関しては是非色んな方の意見を聞いてみたいものです。
なのでよろしければコメント欄で感想を言っていただければ嬉しいデスデス。
オマケ(のりたまとの鑑賞後の感想)
実験もので一番印象深い作品、たしか実話ベースだったと思います。
思い込みや刷り込みの怖さがよくわかる面白い映画です。
こちらは本当に怖い爺さん。
まあ、怖いというより気持ち悪いと言ったほうが正しいかもしれません。。。
でも同情的な気持ちもなくはないからなんとも言えない。
こんばんは中村です。
記事を読んで自分もだいたい同じ様な解釈だったので特に書くこともないかと思いましたが、是非感想をとの事なので少しだけ書こうかと思います。
とは言え本当に上記の通りなのでちょっと気になった点を挙げたいのですが、爺さんにとってあの家は奥さんとの思い出の残るそれこそ命程に大切な場所だということは最早疑う余地もない事かと思いますが、最初の方で斧か何かで家のドアを破壊してた理由がよく分からなかったんですよね。
終盤の裁判のシーンで、あの家には奥さんがいるからと言って施設に入るのを嫌がったという話がありましたので、主人公達がイタズラを仕掛ける前からあの家を大事にしていた筈なんですが、何故あんな事をしたのでしょう?
この映画を観たのはだいぶ前なので、もしかしたらどっか抜けてるかも知れないんでもう一回観たいですね。
ドントブリーズ(個人的にはあまり…)の派生でしょうが、かなり練られたシナリオに、感動を与えつつも後味悪いエンディングと今まで無かったような展開を楽しめる良作という所が私の評価です。
サイコサスペンス系かと思いきや良い意味で騙されました。あの日本版のパッケージ作った奴はちゃんと中身観たんでしょうか、そこだけが残念です。
そう言えば、記事の中でも出てる31のロブ・ゾンビのバンドであるホワイト・ゾンビのポスターが主人公の部屋の壁に貼ってありましたよね。面白い偶然です。
中村さんこんばんは!
僕も網戸の破壊はどうにも解せない部分ではあります。
無理に解釈すれば爺さんはあの場面は霊的なものではなく、誰かの力が加わっていることに気づいていた。
そして自分たちの思い出をあんな形で利用された事に腹をたてたんでしょうか?
もしくはあんなうるさいと単純に寝れないですからね、網戸くらいならぶっこしても住めればいいや・・・的な(^^;)
ドントブリーズ以降ドント~系の映画や爺さんのホラーを売りにした映画が量産されてますよね。
日本版パッケージと謳い文句は完全にドントブリーズを意識しちゃってますからね、これのせいで「パチモンか」と思われて観られないのは寂しいものです。
うお、それは気づきませんでした!?ナイトオブザリビングデッドのポスターがあるのは気づいたんですけどね~。
何となく面白い偶然ですな~。
ゆでたまさん、こんばんは
お勧めされていたので、ネタバレを読まずに観てみました!
私にとってジミー・カーンと言えば、『ミザリー』で脅された
作家のイメージが強いのですが、今回は恐ろし気なお爺さん役で
まんまと騙されました!映画の撮り方が軽いし、大半がビデオ盗聴のシーンばかりでちょっと単調な感じが退屈しましたが、終盤は悲しくて切なくてやりきれませんでした。
さらに近年問題になっている、遊び半分で盗聴してプライバシーの侵害をする人間に対しての警句になっていると思います。
盗聴がどこまで罪に問えるのか?というのは、まだまだ議論が続いてますが、最後は人間の倫理観によるものなのですね。道徳的なお説教を聞くより、この映画を見る方が何十倍も出来心の残酷さを思い知らされますね。映画の役割はこういうグレーゾーンを引き受けるところにあるかもしれません。彼らが社会的責任を取らされたのも良かったです。
私はこのジャンルの映画に詳しくないので、また色々と教えて下さいね。
雪さんこんばんは!コメントの返信遅れてすみません(ーー;)
映画を観ていただいてありがとうございます!
ジミー・カーンって『ミザリー』の役者さんだったんですね~、恥ずかしながら今知りました(^^;)
上手いですよね~、日常Partが大半を占めるので中だるみはするものの・・・終盤の謎が一気に解き明かされていくのがたまりませんね。
youtubeやSNSの発展によるプライバシーというものの捉え方が非常に変わってきてますよね。
タイムリーなことに友人の弟が、中学生ながらにユーチューバーを目指していて結構無茶な動画を撮っているようなんです。
僕はユーチューバーが悪いとは言いません、ただ近年爆発的に増加している無茶な動画の撮り方をしている少年~青年にはこの映画を観てほしいものです。
そして願わくばそれで道徳観や倫理観を少しでも考え直してもらえたらなあと思いますね~。
映画によって法律まで変わった韓国の『トガニ』なんて映画もあるくらいですからね。
雪さんの仰るようにグレーゾーンを引き受けると言う意味で映画にしかできないことやれないことは沢山あるのでしょう。
そう言っていただけると本当に映画ブログを続けていく励みになりますよ~。
これからも自分なりにオモシロイと思った映画を記事にして紹介するのでまた気が向いたらコメントいただければ嬉しいです(^^)
ゆでたまさん、こんにちは
https://add7net.blogspot.jp/2017/08/8boynton-beach-girl-8-dies-after.html
こんなニュースを見つけました。Youtuberはアクセスを集めるのにどうしても過激になってしまうし、若い子は面白がって
真似しますよね…。ゆでたまさんのおっしゃるように道徳観や
倫理観を考え直してもらいたいです。映画もyoutubeの動画も
エンタメだけでなく、作り手に最低限の倫理観が必要なんでしょうね。ちょっと説教くさくなってしまってごめんなさい。
雪さん、こんにちは。
うーん・・・何とも痛ましい事件ですね。
誰でも子供時代には多少なりとも無茶なことはするだろうし、一歩間違えれば大惨事になってたこともあるでしょう。
いえいえ、大丈夫ですよ!
僕も色々と言いたいことあるので、ちょっと記事にして書きますね。