[パラドクスの謎が]ダークレイン ネタバレ 感想[今明かされる]
あらすじ
雨の中に潜む「何か」におびえて常軌を逸していく人々を描いたメキシコ発の感染パニックスリラー。世界中が記録的な豪雨に襲われた夜。人里離れたバスステーションで、偶然居合わせた8人の男女が立ち往生していた。やがて1人の女性がウィルスに感染したような症状を見せ、正気を失ってしまう。ラジオから流れてくる情報によると、原因不明の伝染病で外でもパニックが起きているらしい。彼らは建物から出ることもできず、1人また1人と感染していき……。監督・脚本は「パラドクス」のイサーク・エスバン。ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち2017」上映作品。(映画.comより)
予告
80点
❝個性❞という名の喜劇
まず、この映画は落ちが秀逸の映画ですがのっけからモロネタバレしてるんで未見の人は注意してくださいね~。
そんではいきます。
秀逸な設定と怒涛の伏線回収が素晴らしい「パラドクス」の監督アイザック・エスバンの新作です。僕の感想はコチラからそうぞ。
僕はこの映画が世に出ていることすら知らなかったのでコメントで教えていただいた中村さんには改めてお礼を言いたいと思います(ありがとうございますm(_ _)m)
さてこの映画ですが・・・パラドクスのサスペンスフルな展開はそのままにより荒唐無稽な世界観になっています。
超能力やら現実改変やら、やりたい放題ですからね~。
イメージとしては世界観がゲームの「バイオショック」で、そこにジョジョのボヘミアン・ラプソディっぽい能力をもった奴がいるって感じです。
またシリアスなパラドクスとは違い、どこかおかしくて笑えるようで笑えない喜劇風味な仕上がりも大きな特徴でした。
基本的には面白かった!といえる映画ではあるのですが・・・パラドクスのような怒涛の伏線回収のカタルシスを味わいたい人には物足りなさもあるかもしれません(僕もその一人)
あ、でも伏線回収自体はちゃんとあって決してツマラナクはない、でもパラドクスには及ばないって感じではあります。
ザックリとストーリー紹介
・とあるバス停では長時間による豪雨で足止めを食っている人たちがいた
・定年間近で切符売のマルティンとその妻ローザ、妻の出産が間近で焦るウリセス、夫のDVから逃げてきたイレーヌ、謎のシャーマン老婆
・それぞれの事情がありバスを待っている時に❝異変❞は起きる
・老婆が急に騒ぎ出しマルティンとローザが泡を吹き気絶してしまう
・そこにたまたまバス停に来ていた医療大の学生アルバロがローザを介護する
・右往左往していたウリセスとイレーヌはゲルトルディスと名乗る女性とその息子イグナシオに出会う
・エントランスに戻ってきたアルバロに突如包帯ぐるぐるまきのマルティンが銃を構えて、ウリセスを何故か悪魔扱いしながら撃とうとする
・とりあえずマルティンを気絶させて縛り上げて顔の包帯をとるとそこにはウリセスと瓜二つの顔があったのだ
・ウィルスだと信じて疑わないアルバロは今度はウリセスを縛り上げて白状させようとする
・しかし実はこの謎の奇病の正体はイグナシオの仕業であり、彼には現実を思うがままに改変する力があった
・一人また一人イグナシオの❝お遊び❞によって命を落としていく中で、生き残ったのは老婆とイグナシオの母ゲルトルディスとイレーヌが出産した赤子であった
・豪雨が止み、警察がやってきて沈静化した現場では死んだ人たちの原因は全てヤクで頭のおかしくなったアルバロのせいにされていた
・場面は変わり、ゲルトルディスはイグナシオと共にトラテロルコに向かいバスに乗っていた
・そこに老婆が登場してトラテロルコに向かっては行けないと忠告するがゲルトルディスに追い払われてしまう
・走り去るバスを背景に全ては❝より大きな存在❞であるイグナシオによるの力であり、そのイグナシオですらも❝より大きな存在❞の一旦にしか過ぎないとナレーションが入りEND
うーん、まとめてみたけど多分映画を観てない人はちんぷんかんぷんでしょうね。
まあ、映画を観ないでこの感想を観に来る人もそういないとは思いますが・・・
登場人物まとめ
吹き替えで見た人は名前と顔が一致しない人もいると思うのでまとめておきました。
・マルティン 切符売の老人
・ウリセス 髭
・イレーヌ 身籠った女性
・アルバロ 学生
・ローザ マルティンの妻
・ゲルトルディス 子供の母
・イグナシオ 子供
みんな演技がうまくて引き込まれるけど特にイグナシオ少年の笑顔は狂気を帯びてて良かった。
❝個性❞を題材にした哲学ホラー
映画を一周した段階での感想は❝個性❞と言うものを大いにあざ笑った皮肉めいた映画・・・ですかね。
その示唆は至る所でされてます。
ウリセスの❝学生か❞というセリフやマルティンのイグナシオに対する❝変な子供発言❞や❝人から見たアリ❞のくだりなどですね。
これらの示すものは人の持つ個性などより大きな存在の前には全て等しく無個性だって事をいいたいのでしょう。
これに関しては日本に住んでる僕としてはいい皮肉だ~なんて思っちゃいました。
だって新社会人ってみんな同じ顔同じ髪型してるじゃないですか。
(これぞまさに没個性!という1枚)
ただだからと言ってそれ以上の感想もないんですよね。
だってそれがその時代その時々の人々の生き方ですからね。
それに文句を言ってもしゃーなしかと。。。
それに個性を持って生きるということはそれだけリスクを背負うことでもありますからね~。
だから個人的には映画のメッセージがわかっても「はぁ・・・さいですか・・・」として思えませんでした。
いやだって、自分自身の個性だなんて考えた事もないですからね~。
もちろん、ないわけではないけれどもそんな失って困るかな~?なんて思っちゃいます。
だから映画内で自分がウリセスの顔になっても「うぉおお、顔別人やんけ!」くらいにしか思いません。
いやまあ、ショックはショックだしメッチャ不気味ではあるんですけどね。ただいずれは慣れるんじゃないの~なんて思っちゃいます。
あ、でも男女共通の顔はちょっと嫌だな、せめて男女でニパターンくらいは顔を用意してほしい。
相変わらずの秀逸な伏線
相変わらず伏線の張り方は秀逸で、ものによっては2週観ないとわからない部分があります。
例えば最初の老婆がいきなり騒ぎ立てる理由とか僕は一周目では気づけませんでしたよ。
(泣き崩れるウリセスの顔に塩ふりかけてる姿がシュールで好き)
一周目では急に大声を出して騒ぎ出す老婆に対して映画慣れしている人ほど「あ~、この老婆何か能力持っててヤバイ事態が起こるんだなって感づいてるのか~」くらいにしか思いません。
でも実は・・・
老婆の視線の先にはコーラのポスター。
恐らくこの段階からすでにポスターの顔がウリセスに見えていたのでしょう、と同時にウリセスの元の顔が変化していることにも気づいていた。
もちろん、ウリセスは自分の顔が自分の顔以外の別物になっているのに気づいていません(ウリセスからは異変が起きた以降も見えている景色が観客と違う)
準主役(ウリセス)と観客(僕ら)で見えているものが違うわけですね(ゲーム「ever17」っぽい)
こういうのがわかる瞬間に得られるカタルシス(背中がゾクゾクする感じ)ってたまんないですよね~。
ただ冒頭でも書いたようにパラドクスと比べると一歩及ばないのは否めません。
もちろん、そこいらの下手な映画に比べれば気持ちいいカタルシスを得られますよ!
パラドクスの元凶がついに判明!?
(ダークレイン、広場の殺人、大きな波、地震という大災害、そしてパラドクス)
映画のラストでイグナシオが本を意味ありげに見せてくるシーンがあります。
その意味とは何か?
ズバリこれまでイグナシオが起こしてきた事件の数々なのではないでしょうか。
イグナシオ少年は読んだ本を現実に反映する能力を持っています
今回のダークレインもそうやって起こしてきた事件なわけですが・・・そう考えればパラドクスという世界観の仕組みはイグナシオ少年が起こしたのではないのかと考察できます。
時代がまるで違うという矛盾点はあるんですけど、そもそもイグナシオ少年の能力が桁違いすぎるしイグナシオ少年自体は能力の本体ではありませんしね。
だからイグナシオ少年の読んだ本の記憶を媒介にパラドクスのハムスターが起こした~なんて捉えることも可能です。
ちなみにパラドクスの次に見つめるのはトラテロルコ・クリニックでそこが目的地です。
という事は次に世にも奇妙な物語が起きる現場(次回作の予告とも言う)はトラテロルコ・クリニックを示唆してるわけですね。
まとめ
前作よりもSF要素が減って、ファンタジー要素を多分に取り入れた作品でした。
哲学的なメッセージ性が僕にはそこまでクルものがなかったので100点満点の映画ではないですけど、世界観や伏線の張り方は相変わらず秀逸です。
それにパラドクスの最大の謎も一応解決してくれたしね。
恐らく監督の元に「あの映画の元凶は誰なんだ!教えてくれ頼む!」なんて訴えが数百万通届いたのでしょう(妄想)
狙ってるのか狙ってないのかはわからないけどパラドクスから始まる二部作構成みたくなってるんで、これから観る人がいればパラドクスとセットで観ることをお勧めします。
また僕はアイザック・エスバンの次回作が出たらまた絶対観たいですね!
どのシリーズも名作揃いだがやっぱり初代が一番好き。
難易度がぬるいので誰でも気軽にクリアまでいけますよ。
能力バトルが若干わかりづらいのとラストが受け付けないという人も多いですが、僕は割と好きです。
ウリセスの❝顔❞という部分で思い出したゲーム。
学生の頃にやったADVゲームで、所謂美少女系ゲームなんですけどドンデン返し系としても非常に秀逸です。
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