怪しい彼女(韓国版) ネタバレ 感想
あらすじ
「サニー 永遠の仲間たち」のシム・ウンギョンが、70歳の心を持つ20歳の女性を熱演したハートフルコメディ。頑固で毒舌な70歳の老女オ・マルスンは、ある日突然、20歳の姿に若返ってしまう。これまで女手ひとつで育児と生活に追われ、自由な生き方ができなかった彼女は、オ・ドゥリとして新たな人生をスタート。キュートなルックスと類まれな歌唱力、歯に衣着せない物言いで、思いどおりの人生を突き進んでいくが……。共演に、人気アイドルグループ「B1A4」のジニョン、ドラマ「エア・シティ」のイ・ジヌク。「トガニ 幼き瞳の告発」「マイ・ファーザー」とシリアスな社会派作品を手がけてきたファン・ドンヒョク監督が、長編第3作目にしてコメディに初挑戦した。(映画.comより)
予告
80点
シム・ウンギョンの演技力に脱帽!
前から観たいな~とは思ってたけど観てなかった作品。
借りた後に気づいたんですけどこれ「トガニ 幼き瞳の告発 」の監督さんなんですね~。
結論から言うと凄く面白かったけど引っかかる部分がなくもないって感じでした。
ただそういった部分はお国柄とかもあるので一概にこの作品の欠点として評価するわけにもいかないのかなって思います。
少なくとも僕はソコが気になって仕方なかったので「感動した!」って思う反面「でもあれはないよなあ」という気持ちが終始チラついちゃいましたね。
目次
ザックリとストーリー紹介
・頑固、いじわる、自己中を絵に描いたような婆さんオ・マルスンは女で一人で息子を育て上げた
・その息子も結婚して奥さんと子供に恵まれるがオ・マルスンの台風のような性格のストレスで妻は倒れてしまう
・自分に責任があると感じたオ・マルスンは「青春写真館」で記念写真を撮る
・それにより若返ったオ・マルスンはオ・ドゥリとして生きることを決意
・あることをキッカケに孫のジハとバンドを結成して新人オーディションに出場して夢だった歌手になる
・音楽プロデューサーとも恋愛中になり全てがいい方向に進んでいた
・だが大きなコンサート当日にジハが交通事故にあってしまい輸血が必要に・・・
・血液を失うと若返り効果がなくなってしまうオ・ドゥリだったが迷いもなく輸血をする
・シワシワのばあちゃんに戻ってしまったオ・ドゥリもといオ・マルスンだが息子の嫁とも上手くいくようになる
・ジハのバンドボーカルは孫娘が引き継ぎオ・マルスンは自分にベタボレのパクが「青春写真館」で若返りオ・マルスンをバイクに乗せて走り去りEND
70のばあちゃんが憑依したかのような演技
(シム・ウンギョンの脅威のトレース力)
この映画が傑作たる所以は間違いなくシム・ウンギョンの功績にあります。
彼女はお世辞にも超美人とかメチャ可愛いという容姿ではないです。
どちらかと言えば普通かちょっとクセのあるおたふく顔ですね(ぶっちゃけ孫娘の方が可愛いくらい)
でもそんなビジュアルをひっくり返すほどの凄まじい演技力でしたよ。
というか前半では「うわ!若返ってもあんまりかわいくねぇ!」とか思ってたのが・・・
後半では「クッソ、こいつ結構可愛いじゃんよ・・・」って思わされてました。
ていうかプロデューサーとの絡みで女の顔をだすのがウマすぎます。
と同時に母としての顔も同時に覗かせるからか「可愛い、惚れそう・・・なのに女として見れねぇ!」っていう複雑な心境でしたよ。
これ、男ならわかると思うんですよね。
母の愛と子の愛にホロリ
(恐らくこの映画でも屈指の議論の的になる場面)
オ・マルスンは女で1つで息子を立派に育て上げており、その苦労は尋常ではありません。
そんな生活しててよく70まで生きれたな・・・ってくらいカッツカツの生活スタイルですからね。
その苦労を知ってるからこそ息子は自分の息子の命と母ちゃんの人生を天秤にかけた時に母ちゃんの人生を優先したのでしょう。
自分の息子の命と苦労しかなかった母ちゃんの新たな人生
アナタなら・・・
どちらを優先しますか?
どちらかだけを選ぶ勇気がありますか?
きっとその立場にならなきゃわからないかもしれないんでしょうね。
ただ凡庸な映画にありがちな選ばないという「逃げの姿勢」ではなく、二者択一からちゃんと答えを出した監督に僕は感動しました。
老いる事の悲しさと若いということの幸福
地味に心にきたのが若い事と老いることの対比でした。
若返ったオ・マルスンは精力的で何をやっても希望に満ちてました。
と同時に彼女を慕うパクのどれだけ努力しようとも歳には勝てない体とオ・マルスンのケンカ友達の加齢による死という現実。
若さが宝だってことを改めて思い知らされます。
どんだけ綺麗事を言おうとも歳を重ねれば体は重くなっていき出来ることは減っていく。
男としての魅力も女としての魅力も失ってしまう。
それらは冒頭の歴史に残る秀逸なナレーションに全て詰め込まれてます。
ちょっと許せない所
(あえて謝らないで恨まれ続けるのも1つの罪滅ぼしの手段かもしれない・・・)
オ・マルスンが苦労をしてきたのはわかります。
でもだからといって序盤のオ・マルスンを完全には正当化出来ません。
特に拾ってくれた恩を仇で返した所はずーと頭をチラついちゃってました。
そりゃ人生は綺麗事だけじゃないってことぐらいはわかりますよ。
子のために親が鬼になる気持ちもわかります。
だからこそ相手の人生をボロボロにした報いをうけるべきでは?
未練がましく「自分は苦労したんだよ!」って言うのだけはやめて欲しかった。
ただ・・・だからといってオ・マルスンを全面的に攻めてるわけでもないんですよ。
う~ん、何が言いたいかっていうとね。
この映画は単純娯楽にちょっぷり人生の世知辛さとかを混ぜるくらいで良かったんじゃないの?って勝手に思っちゃったってこと。
最後が気持ちいいくらい綺麗に終わっているだけに生々しすぎる現実は見たくなかったってのが正直な気持ちです。
そんでみせるならみせるでもっと掘り下げてほしかったていうのもありますね。
ちょっと気になったところ
身もふたもない事を言っちゃうとオ・マルスンが息子の説得を聞いたとしてオ・ドゥリとして生きた所でこの先厳しくない?って事。
だってちょっと出血したくらいでその部分が老いてしまうような未完成な体でこれから生きるのって不便すぎるでしょ。
怪我したらどうするの?
健康診断とかの血液検査は?
プロデューサーとの間に子供が出来たとして出産は!?
って「永遠に美しく・・・ 」のようなことになりそう・・・って思っちゃいました。
いや、しょーもない突っ込みとはわかってるんですけどね。
でも考えちゃいました。
というか考えますよね?考えない?
まとめ
くだらない突っ込みとかオ・マルスンの生き方への疑問を除けば傑作そのものです。
ラブコメディとしても母ちゃん系の映画としても一流。
更にシム・ウンギョンの脅威の演技力は一見の価値ありです。
観なきゃ損!って言うほどではないかもしれないけど好きな人は人生観を変えられちゃうくらい好きになるかもしれません。
是非おすすめですね。
ゆでたま&のりたま鑑賞後トーク
老いと若さをブラックかつコミカルに描いた作品。
僕は超好きな作品です。
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