ドリームホーム 99%を操る男達 ネタバレ 感想
あらすじ
「アメイジング・スパイダーマン」シリーズのアンドリュー・ガーフィールド主演による社会派サスペンス。リーマン・ショック後のアメリカで住宅ローンの返済不能により自宅を差し押さえられた人々の実話をもとに、家族や復讐のために道を踏みはずしていく男たちの運命をスリリングに描き出した。シングルファザーで無職のナッシュは、ある日突然、不動産ブローカーのカーバーによって自宅を差し押さえられ、強制退去させられてしまう。長年暮らし続けてきた家を取り戻したいナッシュは、カーバーが持ちかけてきた儲け話に乗ることに。それは法の穴をすり抜け、自分と同じような境遇の人々の家を差し押さえて大儲けするというものだった。家族に真実を言いだせないまま、大金を稼いでいくナッシュだったが……。共演には「レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで」のマイケル・シャノン、「ジュラシック・パーク」のローラ・ダーンら実力派がそろう。「チェイス・ザ・ドリーム」のラミン・バラーニが監督・脚本を手がけ、「CUT」のアミール・ナデリが脚本に参加。(映画.comより)
予告
85点
リーマン・ショックの片鱗
この映画ずっっっと観たかった映画なんです。
というのも僕は「住宅購入」と「家族」の2つのキーワードにかなり思う所があるんですよね。
なぜなら僕も戸建てを購入した時はかなーり苦労しました。
それこそ家族が一時は崩壊しかけるほどに・・・
だからこの映画を観てる最中はトラウマが刺激されて泣きそうになりましたね。
目次
ザックリとストーリー紹介
・シングルファーザーのデニス・ナッシュはある日職を失い住宅ローンの返済を滞らせてしまう
・不動産屋のリックが警察と部下を率いてナッシュの自宅へ
・「2分で」貴重品を持って出て行けと言われその日から息子と母親とモーテルぐらしになる
・中々職を見つけられない中でナッシュはひょんな事からリックの部下として働くことに
・他の日雇い労働者と違い頭のキレるナッシュは不動産屋の仕事をするするとこなしあっと言う間に豪華なプール付き豪邸を購入
・しかし法をかいくぐり人々の恨みを買うようなやり方をしているため母親にも息子にも認められず家を出て行かれてしまう
・カーバー不動産のやり方に疑問を抱いたナッシュはついに汚いやり方を公然の前でぶちまけてしまう
・逮捕されるリックと何とも言えない表情をしたナッシュを写してEND
住宅購入による家族の崩壊の危機(ゆでたま家のお話)
ちょっと暗い話だし個人的なもので面白くもないので興味がなければ次の項目にいっちゃってください。
よくCMで借入はよく考えましょうとか計画的な返済を~ってやっていますよね?
あれって住宅ローンとかを組むまでは全く実感なかったし自分なら無理は絶対にしないって思っていました。
でも現実は違ったんです、少なくとも僕の場合は・・・。
僕はのりたまと僕の母さんとの3人で暮らしてるのでナッシュ家と構成が似ているんですよね。
そんで当時住んでいる家が古くなりすぎたんで建て直しか引っ越しかを考えた時に引っ越すことにしたんです。
それで将来子供を迎えることを考えて今よりも大きな家に住みたいねって事で「多少無理」をすることにしたんです。
これが崩壊の始まりでした。
まずそれなりの大きな家を買うと月々にできていたことが出来なくなります。
趣味をする時間や余裕がなくなりフラストレーションが溜まり、仕事にかかりっきりになり家族の時間が減ってしまっていきました。
少しでも節約しなきゃ、少しでもお金を貯めなきゃという焦りや不安が僕を変えていったんです。
表情はみるみる険しくなっていきいつしか金と仕事のことしか考えなくなりました。
最終的には僕は家族との会話すら時間の無駄だと思うようになっていたんですよ。
広い部屋に会話のない食卓、最低限の会話・・・。
これの何処が幸せなのか・・・。
綺麗な食卓で誰ひとりとして嬉しそうな顔もしなければ苦虫を噛み潰した顔でただ生きているだけでした。
僕とのりたまも別れの危機にあっていたし母親はいつも泣いていました。
そしてその時の僕にはそれが理解できなかったんです。
「一生懸命家のために尽くしているのに何故みんな暗い顔をしているのだろう?」
なんて思ってたくらいです。
全くもって正常な思考を失ってたんでしょうね。
そして話はここで終わりです。
こっからは母さんとのりたまの必死の訴えにより僕は目を覚まし家庭は何とか体裁を保てるようになり笑顔を取り戻すことができました。
特にドラマティックな話がなくてすいません。
リアルは平凡な男なんです。
ただ・・・人によっては「たかがローンで?大げさな」って思うかもしれません。
でも環境の変化、ローンという重圧は予想以上のものでした。
僕はまだまだラッキーな方です。
リーマン・ショックのような大打撃があったわけでもなければ首が回らなくなるとかそんな事もないですからね。
余談ですが住宅購入する時に任意競売物件をいくつか紹介されました。
まだ人が住んでいる状態の家だったりすでに競売にかけられてリフォーム済みだったりする家だったりするんですけど・・・
土の家もリーマン・ショックの影響だったそうです。
家はただの箱かそれとも思い出か
(家はただの箱でしかないと語るリック)
僕は幼少期から引っ越しの回数が多く何度も引っ越していたので家に愛着がないんで基本的にリックと同じ考えなんですよね。
ただ今の若い世代や僕くらいの世代はこういう考えの人多いんじゃないでしょうか?
でもナッシュ家というかアメリカ人には違うのかもしれません。
映画の中ではどの家庭も家を守ろうと必死になってますからね。
日本人と違って家族第一主義のアメリカ人にとっての家は神聖なものなんでしょう。
日本人は家族よりも仕事を大事にしろみたいな風潮ありますからね。
悪いのは誰だ?
人によっては「返せもしないのに借りるなよ」って思う人もいると思うんですよ。
多少強引で不当なやり方ではあるもののリックの言ってる事自体は間違ってないですからね。
返せもしないで先延ばしにしたってどうせいつかは破綻する。
ならばそれを金儲けに利用して何が悪いのだろうか?
でもそこには人間性がないんですよね。
もちろん借りたものを返せないのはダメに決まってるけどそれをわかりきってて貸す側もどうなんだって話。
大体裁判所と銀行と不動産屋が手を組んでる時点でもはや人間性なんてものは失われてるのでしょう。
誰もが賢いワケじゃないし強いわけではない。
でも誰だってマイホームをもって幸せになりたい。
これを願うことってそんなにいけないことなんですかね。
超成果主義のアメリカは常に競い合い誰かを蹴落としてきたからこそ今のアメリカがあります。
リックも勝利の国アメリカでも勝ち続けてやると言ってました。
でも一体何に勝ち続けるのだろう?
何のために勝ち続けるのだろう?
いい女、うまい酒、でかい家・・・家族のため。
それらを手に入れたハリウッド俳優やセレブがみんな幸福に慣れているのかと言われればそんな事はない。
それに敗者だって少なからず誰かを犠牲にして、そのまた下に敗者がいてそいつもまた誰かを犠牲にして・・・
この世の理として人は何かを犠牲にしているし誰かを踏み台にしている。
でもそんな競い合いの世界で理屈や理論を超えた先にある温かみとか人情といった「不確かな何か」を持てるのもまた人間の素晴らしさ。
それをギリギリで落とさずにすんだナッシュと捨ててしまったリック。
どちらが正しいのでしょうね。
貧乏を経験した人なら涙なしに観れない
(緊迫感のある長回しからの衝撃的な引きの映像)
この映画僕は泣きそうになるのを何度もこらえましたよ。
家を奪われたことはないけれど住宅を購入する苦労や維持する苦労、家族を失う辛さの片鱗を味わいましたからね。
もし僕がこの画像のような目にあったならどれだけの絶望にかられるかはわかりません。
主人公のナッシュがわりと前向きな性格で悲観的ではないのが救いでしたよ。
(文無しモーテルぐらしでもめげないお父さんの鏡)
ただそれだけにお母さんの理解のなさにはちょっとイラッときちゃいました。
例え多少ブラックなやり方にしたって(ラストの文章偽造は流石にアレだけど)もーすこし息子の頑張りを認めてやれよ。
一緒に堕ちていくくらいの気概は見せて欲しかったなあ。
稼いでもいないのに偉そうに正論言うんじゃーない!
って怒鳴りたくなった僕は男としてちっさいのでしょうかね。
(言ってることは正しくても全く共感できないシーン)
あとおじいちゃんが意味もわからず追い出されてどうしていいかわからないシーンは本気で心にきました。
本当にこーいうのはやめて欲しい。
(汚いことに手を染めることを決めたナッシュでも流石に罪悪感を覚えたシーン)
暖かいボロい家と冷たい豪華な家
家を追い出されたナッシュは必死に仕事を探しつつギリギリの生活を送っていました。
外はガヤガヤしていてうるさいし部屋はモーテルに3人で住むから狭くてたまらない。
だけど家族の絆は守れていたし暖かみもありました。
ナッシュがステーキを買って帰ってきた時の「今日はステーキだ!」といった時の親と近所のおばちゃんの喜びようと言ったらもうね。
そんでプール付き豪邸に引っ越してからの冷たさとの対比がまた凄い。
まさに豪華な牢獄のようなもの。
どれだけ綺麗でも家族というそこに住む人間の暖かみがなければどれだけ断熱材が入れてあろうと高性能なエアコンがついていようとも心は冷えていく一方なんだなって事を思い知らされます。
まとめ
人によってはそんな大した映画ではないと思います。
話の展開自体は簡単に読めるしリーマン・ショックやサブプライムローンのことについても詳しく説明してないです。
それに銀行のあくどいやり方ってのもほぼ説明なしなのでクライム・サスペンっぽい成り上がってる感じも感じられません。
ただ住宅ローンや家族で苦労したことある人なら色々と思うことがある事でしょう。
ゆでたま&のりたまの鑑賞後トーク
同名のスカッと爽やかなスラッシャー映画。
観た後に何も残らないけどその清々しさがたまらないです。
普通におもしろいです。
トビー版には負けますけどね。
ゾッド将軍が不動産屋の前についていた職業を描いた作品(嘘)
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