レヴェナント ネタバレ 感想
あらすじ
レオナルド・ディカプリオと「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」で第87回アカデミー賞を受賞したアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が初タッグを組み、実話に基づくマイケル・パンクの小説を原作に、荒野にひとり取り残されたハンターの壮絶なサバイバルを描いたドラマ。主演のディカプリオとは「インセプション」でも共演したトム・ハーディが主人公の仇敵として出演し、音楽には坂本龍一も参加。撮影監督を「バードマン」に続きエマニュエル・ルベツキが務め、屋外の自然光のみでの撮影を敢行した。第88回アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演男優賞など同年度最多の12部門にノミネートされ、ディカプリオが主演男優賞を受賞して自身初のオスカー像を手にしたほか、イニャリトゥ監督が前年の「バードマン」に続いて2年連続の監督賞を、撮影のルベツキも3年連続となる撮影賞を受賞した。狩猟中に熊に襲われ、瀕死の重傷を負ったハンターのヒュー・グラス。狩猟チームメンバーのジョン・フィッツジェラルドは、そんなグラスを足手まといだと置き去りにし、反抗したグラスの息子も殺してしまう。グラスは、フィッツジェラルドへの復讐心だけを糧に、厳しい大自然の中を生き延びていく。(映画.comより)
予告
85点
復讐心にまみれたサバイバー(亡霊)
ディカプリオの悲願であるオスカーを取った作品です。
僕がディカプリオを初めて知ったのは「バスケットボール・ダイアリーズ 」という映画でした。
ヘロインにどっぷりハマり底なし沼に落ちていく映画なんですけど、ディカプリオの迫真の演技も相まって当時学生だった僕にはすごい衝撃でしたね。
アイドル俳優だなんて当時は言われてたらしいけどまーったくそうは思えなかったくらいです。
「レクイエム・フォー・ドリーム」をみて麻薬映画に興味が湧いた人におすすめの作品です。
ディカプリオは「ウルフ・オブ・ウォールストリート」で相当頑張ってたにも関わらず審査員に嫌われているのか(実際好かれてはいないらしい)オスカーを取りそこねて悔しい思いをしてましたね。
涙をこらえる姿には「オスカーやれよ、すっげー演技してたじゃん」と同情したくなります。
でも今作では満場一致で文句なしのオスカー!
ようやく悲願を叶えたディカプリオは次に何を目標にするのでしょう。
ザックリとストーリー紹介
・西部開拓時代にヒュー・グラスは息子と毛皮集めの案内人をしていた
・しかしインディアンの襲撃やクマに襲われたりして瀕死の重症を負う
・グラスをよく思っていないフィッツジェラルドはグラスの息子を勢いで殺してしまいその上グラスを生き埋めにして逃げる
・フィッツジェラルドへの復讐心のみで極寒の地とインディアンの追撃から生き残り続けるグラス
・そして何とか部隊へと生きてたどり着くグラス
・フィッツジェラルドの悪行がリーダーにバレて今度はハントする側へと回るグラス
・壮絶な肉弾戦の末フィッツジェラルドに勝利し生きたままインディアンに手渡し止めを任せる
・復讐を終えたグラスの何ともいえない表情とともにEND
息をつく瞬間がない
この映画は冒頭とラストをのぞけばわりとゆっくり進むんですよ。
それなのに一息つける瞬間がほとんどないです。
それだけ極寒の地でのサバイバル映像のリアリティが凄かったんでしょうな~。
冒頭のインディアンの襲撃は「プライベート・ライアン 」の上陸シーンのような長回しで一気に引きこまれました。
そして間髪入れずにクマの襲撃で完全に観客を映画の世界に放り込んでしまう監督の手腕は流石です。
この監督さんの映画ってこれが初なんですけどその作品も評価が高いんで今度借りて観てみようかな~。
ちなみにクマの襲撃シーンはクマを人間が演じてディカプリを機械で引きずり回して撮ってるらしいですよ。
肩をがぶり!と噛んだり爪でガリガリひっかく感じとか人間を紙切れ同然に扱う巨大な肉食獣の恐怖感がハンパないです。
人間がいくら筋肉を鍛えようがミリ単位も通用しないんだろうな~って用意に想像できちゃいます。
クマに襲われる恐怖感は「三毛別羆事件」を知っている人ならより伝わるんじゃないでしょうか。
何故クマに歯向かったのか?
クマに対して銃撃せずに死んだふりでもしとけばよかったって思う人もいると思うんですけど・・・(僕も最初思いましたw)
でもグラスは案内人でありボディガードでもあるわけだから子連れのクマを放置するわけにはいかなかったんじゃないですかね?(子連れのクマは超危険)
仲間と戦えば無傷で勝利できる可能性もあるけど仲間を危険に晒さないのがグラスの役目なわけでして・・・
それにインディアンの襲撃に気づけなかった負い目もあったのかな?
もしくはあれだけの傷を与えられたら恐怖感に駆られて冷静な判断が下せなかったとか。
とにかく放置してたら食われちゃう可能性もあるわけだし死んだふりが正解ってわけではないと思います。
最高の擬似サバイバル体験
トム・ハンクスの「キャスト・アウェイ」とかでもそうなんですけど、こういうサバイバル映画ってどれだけ苛酷さを疑似体験出来るかが肝ですよね。
レヴェナントではグラスの感じる「痛み」、「苦しさ」をうま~い具合に視覚的に感じれるように撮ってましたよ。
「馬のお腹の中で暖をとる」、「火薬で傷を焼いて止血」、「ナマニクをかじる」といったサバイバル映像は僕らのような一般ピーポーのよう経験がなくとも「きっと寒いんだろうな」「痛いんだろうな」ってのがビシバシ感じれます。
個人的に一番観ててキツかったのはインディアンから逃れるために服着たまま川に入るシーンです。
僕は零下~度の土地で過ごしてたことがありまして・・・(暖房なぞない)
寒そ~うにしてるグラスを観てたら当時の寒さと辛さがちょっぴり蘇りました。
昔友達と雪の中で遊んでたら川の中に落ちた事があるんですよ。
雪が降る寒さの中で全身びしょ濡れになるあの辛さと嫌悪感は1回味わうとわりとトラウマもんです。
当時は車も携帯もなく家に帰るまで一時間くらいかかる場所にいたから本気で凍死するかと思いましたw
復讐を終えた亡霊
自ら手を下してはいないもののフィッツジェラルドに対しての復讐を終えたグラス。
その姿に観た人は何を思ったでしょうか。
空虚感?達成感?喪失感?
どんな風にでもとれる表情をしたグラスを最後に映画はぶつ切りで終わります。
息子を奪われた激しい復讐心があったからこそグラスはレヴェナント(亡霊)として蘇れました。
しかし復讐を終えて生きがいをなくしたグラスは魂が抜け本当のレヴェナント(亡霊)になってしまった・・・
息子を失った瞬間からグラスにはフィッツジェラルドへの復讐心しか残ってませんからね。
こうなのるのは目に見えてはいたんです。
フィッツジェラルドに「皆のために死ぬ事を選べ」と言われそれに同意して生きることを放棄した時点でグラスの運命は決まってしまったのかもしれません。
ちょこちょこ神の言葉をフィッツジェラルドや隊長が言ってたり奥さんの幻影がグラスを揶揄してるんですけど、神様って生きる意志を持たない人間にはとことん厳しいようです。
そもそもこの映画のテーマであるサバイバルするレヴェナント(亡霊)っていうのが何となく皮肉感たっぷりですよね。
本気の殴り合い!?
トム・ハーディ演じるフィッツジェラルドとグラスの最後の一騎打ちはリアルに殴り合いをしたらしいですよ。
流血騒ぎになるくらい本気でやりあったかいもあり?ド迫力で生々しかったですね。
指を斧で切り落とされたフィッツジェラルドの投げやり感がシュールで良かったです。
ここまでやりあえるのもお互いの信頼感があるからなんでしょうね。
トビー・マグワイアとの仲の良さとかみてるとディカプリオって友人関係を築くのが上手い人なんだな~って思います。
まとめ
そりゃオスカー取るわと納得するくらい気合入った演技してました。
しいて問題点を上げるのなら流石にあの瀕死の状態でろくに食うものもなく復活できたのにはちょっぴり疑問をもちました。
でもこれ実話らしいんですよね。
まあ、多少脚色してケガとか大げさにしてるのかもしれませんが・・・
ちなみにラストも本家の方は復讐をしなかったそうです。
何にせよイニャリトゥ監督(舌噛みそうな名前だなあ)の作品は初だったんですけど他の作品もみてみようと思いくらい面白かったです。
映画の原作です。
この頃からすでにアイドル俳優なんかじゃない貫禄はあったと思います。
同じ系統のサバイバル物、だがこちらの敵は自然やケガではなく「孤独」です。
イリャニトゥ監督の作品。
観ようかな~と思って観てないので今度観てみようかしら。
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