ルーム ネタバレ 感想
あらすじ
アイルランド出身の作家エマ・ドナヒューのベストセラー小説「部屋」を映画化。監禁された女性と、そこで生まれ育った息子が、長らく断絶されていた外界へと脱出し、社会へ適応していく過程で生じる葛藤や苦悩を描いたドラマ。第88回アカデミー賞で作品賞ほか4部門にノミネートされ、息子とともに生きようとする母を熱演した「ショート・ターム」のブリー・ラーソンが、主演女優賞を初ノミネートで受賞した。監督は「FRANK フランク」のレニー・アブラハムソン。7年前から施錠された部屋に監禁されているジョイと、彼女がそこで出産し、外の世界を知らずに育った5歳の息子ジャック。部屋しか知らない息子に外の世界を教えるため、自らの奪われた人生を取り戻すため、ジョイは全てをかけて脱出するが……。(映画.comより)
予告
100点
子と母の絆は世界を超える
正直この映画はよくあるサスペンス映画だと思ってたんです。
予告での感動がどーのーなんてどーせ誇大広告やろってくらいにしか思ってなかったですからね。
でも設定には興味津々だったので軽い気持ちで観たんです。
そしたら・・・・
5回は泣かされました
5回は泣かされました
5回は泣かされました
え?しつこいって?(すみませんでした・・・)
いや、でも本当にやばかったんですって。
子供がいない僕がこんだけ泣かされるって・・・
じゃあ子煩悩な親が観たらどうなるの?どうなっちゃうの!?
しかもその泣かせ方が押し付けがましくなく絶望的な涙じゃないんです。
感動で泣いちゃうんです。
僕は「これがわしの最後じゃ、お前らは生き延びろ」的な定番のお涙頂戴には弱いけど感動モノにはわりと強いんですよ。
家族の再生の物語とかって感動はしても泣かないですからね。
でもこれには泣かされました。
それこそもー泣きすぎてまぶたが厚ぼったくなるほどに・・・(休日で良かった)
目次
ザックリとストーリー紹介
・ある部屋に母親(ジョイ)と息子(ジャック)は何年も軟禁されていた
・ジャックはこの部屋で生まれたので外の世界を知らない
・たまに部屋にやってくるのはジョイを誘拐した男(ニック)だけ
・ある日ジョイは現状に耐えかねて息子を逃がそうと死んだふりをさせる
・死んだふりで見事部屋を脱出したジャックが警察に保護され母親も救出
・数年ぶりに外の世界に出れたジョイと始めて世界を知るジャック
・最初こそ戸惑っていたジャックだったが次第に世界を知り馴染んでいく
・逆にジョイは過去を知れば知るほどにルームに囚われていたトラウマで精神を追いやられていき入院になる
・ジャックがトレードマークで彼の強さの象徴の髪を切って母親に渡す
・ジャックの意志を受け取りジョイもジャックのために強く生きる決心をする
・2人で囚われていた部屋に戻り部屋に別れを告げてEND
部屋(ルーム)の世界観に戦慄
別に凄まじい恐怖演出とかがあるわけではないのだけど、ジョイとニックが「職を失った」、「お前らを養っているのは誰だと思ってるんだ?」、「これからどうするの?」といった何処の家庭でもありえる内容のやり取りをしてるあたりは特におぞましかったです。
だって自分で攫っておいて養ってやってるとか意味不明だし、たまにやってきては性欲の吐き出し場所にしてるだけのくせに何を言ってるんだこの男は・・・って本気で思ってしまいましたよ。
しかもそれを幼いジャックは少し離れたタンスの中で聞いてるわけだからね。
ジャックはそういった情報を知らないにせよ親としては聞かれたくもないし聞かせたくもないだろうに・・・
あまりにも倫理や道徳といったものからかけ離れすぎている上に生々しすぎてルームの世界観にガチで戦慄しましたね。
脱出のカタルシスがハンパない
ただその分ルームから脱出できた時の達成感や新しい世界に出てこれた時の開放のカタルシスも最高でした。
しかもこの映画って脱出系映画にありがちなイライラポイントがないんです。
それどころかみんな「ナイス!」って思えるような立ち回りをしてるので爽快感があるくらいですよ。
ジャックが脱出するときにニックに気づかれちゃうんだけど近くを散歩していたおじさんがちゃんと「なにしてるんだ!警察呼ぶぞ!」ってジャックを守ってくれます。
更に警察が到着した後の婦人警官の行動には感動しましたね。
外の世界をまるで知らないジャックから危機を察知して少ない情報だけでジョイの居場所を特定して救い出してますからね。
多少リアリティがないとか言われようともこういった有能な警察官描写は本当に観てて気持ちが良いですよ。
外の世界に出てからが本番
予告で外に出てから本番というのは何となくわかっていたけどその内容までは全然予想できてなかったです。
だから観る前の段階ではジャックが外に出てジョイを救い出す話かと思ってました。
でも実際は親子の再生の話でしたね。
ただそれが想像を遥かに超えるほど面白かったです。
ぶっちゃけ感動的な演出やエンタメチックな展開はないです。
淡々とジャックが外の世界に馴染む様子とジョイが自分が監禁されるまでを振り返っている様子を映しているんですよ。
なのに観てるだけで心を鷲掴みにされ目が離せなくなるんです。
ジャックが少しずつ他人に心を開き1つずつ何かを学んでいく姿にワクワクし、喜びを感じ、そして感動させられます。
逆にジョイは脱出してから考える余裕や自らを振り返る余裕が出来てしまったがために高校時代のアルバムを見返したりして泣いてる姿には切なさと悲しさで胸が痛くなりましたよ。
それに対してジャックが自分の強さの象徴にしていた長い髪の毛を切り取って母親に渡したくだりには「なんて良い子なんだ・・・」ってボロボロ泣かされましたね。
ジャックにとってのルーム
僕の幼少期ってジャックにちょびっと似ているんですよね(監禁されてたワケじゃないよ)
僕は幼少期は石造りの家で過ごしました、といっても多分みんなの想像してる綺麗なものではなくいわゆる「洞窟」のような家です。
まあ、原住民みたいなのを想像してもらえると分かりやすいでしょう。
そういった環境で育ったから僕にはそれが全てでありそれがホームなんです。
だからいくら綺麗で美味しい食べ物があるところに行けると言われても、そこを出る時は凄く嫌だったし怖かったし寂しかったです。
他人から見ればゴミのような家でも僕にはそれが大きな存在で自分の居心地の良い世界ですから。
だからジャックがルームにこだわる気持ちってよく分かるんですよね。
そしてそれだけにラストで自分のホームにサヨナラが出来たジャックの姿には感動しました。
「あぁ、この子って強いなあ、偉いなあ」ってね。
ジョイは何故自殺未遂を起こしたのか?
上でジャックのルームに対する思い入れを書きましたが、ジョイにとってのルームって忌まわしきものでしかないですからね。
きっと家で寝てても朝起きた瞬間にはまたルームで囚われているんじゃないかって恐怖感とかはあると思いますよ。
また自分の話を例に出して申し訳ないのですが・・・僕は軍隊のような所で地獄の半年間を過ごした事があるんですけど、実家に帰ってきた時は一ヶ月くらい毎日朝5時に飛び起きて「あぁ・・・家にいるんだ、もう点呼はないんだ」と安心したものです。
人間関係は最悪だったしほとんど自由もなかったけど最低限の規律があり人権が尊重される場所ですらたった半年でそうなったんです。
ジョイの7年という生き地獄を考えたら一生安心して寝れる日が来なくたっておかしくないんですよ。
しかも周りの友人は普通に就職して普通に恋愛して普通に結婚してるかもしれない。
そして元気いっぱいに外で遊んでいる子供がいるかもしれない。
それにジャックに対する愛情はあるだろうけど自分がいなくてもジャックはスクスクと育つだろう。
そういった様々なことを考えたら自分という存在が物凄く惨めでみすぼらしく思えちゃったんじゃないですかね。
あとはルームに居る間はジャックを育て上げなきゃ行けない責任感といつか外の世界に出れるという希望を生きる活力にしてたと思います。
でも安心して暮らせる世界に出てこれた時に生きる希望を失ってしまったのかもしれません。
そう考えると何とも皮肉なもんですね。
ただラストでルームにジョイもお別れできたというのはもう前だけをみて生きようという決心の現れだと思います。
だからこれからは自殺未遂をすることもなくジャックと幸せをつかみとることでしょう。
まとめ
あんまりこういうこと言うと安っぽく感じるかもしれないけど・・・
あえて言います、言わせてください。
この映画は名作です!
個人的にはもう今年のナンバーワンはこれでいいんじゃないの?って思ったくらいですね。
とにかくジョイ役のブリー・ラーソンとジャック役のジェイコブ・トレンブレイの演技が素晴らしかった。
僕はこの2人に完全に心を掴まれちゃいましたよ。
ブリー・ラーソンは独特の魅力があって可愛いし、これが評価されて大作に出るらしいのでこれから要チェックですね!
ジェイコブ君は長髪だと女の子にしか見えない(むしろ女の子より可愛い)のでそれを活かした映画とか出ると面白そうですよね。
個人的にはジェイコブ君のアヒル口がツボでした(変な意味じゃないよ!)
どーでもいいけどアヒル口がクロエ・グレース・モレッツによく似ているんですよね。
というかそもそも口元が似てる気がする。
こんばんは中村です。
今回やっとこの映画を観たんですがいやー思ってたよりもずっと素晴らしい映画でしたね。
私も最初は脱出劇みたいなサスペンスものだと思ってたのですがこんな社会派なドラマだとは驚きです。
しかしながら、7年も外界と遮断された生活、さらには生まれてからこの方一部屋の世界しか知らない子供の外界に対する葛藤や戸惑いは観ていて辛いものがありましたね。昔見た「海の上のピアニスト」の中で言っていた「海には端があるここからここまでが僕の世界。陸地はアスファルトで広がる限りない海。端はどこにある、僕はこの果てのない海が怖い。」といったような台詞を思い出しました。
この映画では戸惑いと葛藤を前面に押し出していますが、私はもう一つテーマを持っているように思いました。というのは、情報を元に是非を問う他者とその場の状況の中で是非を問う当事者というもので、解りにくく言ってしまいましたがテレビの会見かなにかの時に記者が本当に正しいと思ったのかというような問いを投げかけた部分です。
先日観た映画で「ある戦争」という映画があるのですが、これは敵の攻撃を受ける中その敵がいるであろう場所で爆弾を爆発させるのですがそこに居たのはただの民間人で11人の罪のない人々を殺してしまった軍人が裁判に掛けられるというもので、敵の確認もせず爆発させたのは軍法上でも違法であり重罪にすべきだという者と、敵の攻撃を受けていたのは事実、結果的に民間人を殺してしまった事は申し訳なく思っているがあの場では爆発をさせなければこちらが皆死んでいた可能性だってあったという主人公の裁判を描いた作品なのですが、先述の部分と同じテーマを持っていると思います。程度の差はあれど、冷静に考えると違う答えが出てくるって事はよくありますよね。因みにこれは最初にオススメした「偽りなき者」の脚本家が監督した映画です、すごく良かったです。
5回も泣き所があったという事ですが、ベタでお涙な展開になると分かっていてもいいものはいいんですよねぇ…私も感動系は割と好きなんでよく観るんですが皮肉なもんで私の涙腺はスポーツジムのトイレの蛇口のように硬くしまっているらしく今まで、あ…やべ涙が…っていう映画は「お兄ちゃんのハナビ」(実話系は卑怯です是非オススメします)くらいのもんで逆に羨ましいです。私も一度くらい映画で隣の部屋からいい歳して号泣してる奴がいて煩いと苦情を言われてしまうレベルで泣き腫らしてみたいもんです。
深夜で途中からなに言ってんのか自分でも分かんなくなっていきましたが一つの出来事の中で、考えられる複数のテーマを重ね合わせる事でより一層のリアリティと重厚感を持った傑作に仕上がってたなぁと思いました。
中村さん、こんばんは!
僕も初見の時は脱出もんだと思ってましたね~。
そしたらま~色々ドラマてんこ盛りだことで。
それにしても今思い出してみてもいい映画だったと思いますね~。
人生観みたいなものを問われる感じは凄いしますよね。
内側の世界と外の世界って究極的に言えば「家からでるか」、「街から出るか」「国から出るか」とステップアップしていくわけで。
僕らも日本からでなければ世界中を旅する人から観たら映画の子供と同じ扱いになるでしょう。
何かそう考えると旅とかしたほうがいいのかな~なんて思うけど・・・お家が大好きなので難しそうです(ーー;)
『ある戦争』予告観たけど面白そうですね~。
劇場で見るかはわかりませんがDVDでは絶対見てみたいと思います!
僕は最近は涙腺が日を追うごとに弱くなっていってますよ。
比較的冷静に見れてた家族の感動系も今ではポロッポロ泣かされてしまいます。
それこそ蛇口に例えるのなら栓が抜けかけている感じです(^^;)