その男は、静かな隣人(オススメ作品!) ネタバレなし&あり 感想
あらすじ
ボブは(クリスチャン・スレイター)はいわゆる冴えないサラリーマン。家には自分しか住んでいなく話し相手は金魚くらい・・・しかも上司にはいつもいびられていてストレスがマッハ。
彼の心の拠り所となっているのは自分の机に忍ばせたリボルバー。
リボルバーに周囲への怒りと共に玉を込めるが小心者で怖がりな彼には実行に移せるはずもない。
そんなある日突如として社内に銃声が鳴り響く・・・
予告
100点
悲しいほどの現実(リアル)
賛否両論の多い映画だけど僕は大好きです。
少しでも多くの人に観て欲しくてネタバレありとなしに分けました。
観てない人は是非観てから僕の感想を見て欲しいなあと。
クリスチャン・スレイターって僕の中ではアクションヒーローなんですよね。
高校くらいの時に観たジョン・ウー監督の「ブロークン・アロー」のイメージが強かったんでしょうな。
だから初めてこの映画を観た時は衝撃でした。
なんたって禿げ上がってて情けなくてダメダメな中年ですからね。
そのダメダメな中年を見事に演じきったクリスチャン・スレイター。
その演技の迫力に僕は心を鷲掴みにされましたよ。
手のひらくるり
ボブ・マコーネル(クリスチャン・スレイター)という人間はいわゆる社会の弱者・・・
彼は会社で同僚を巻き込み心中を目論んでたわけだがそれをコールマンという男に先をこされヴァネッサ(エリシャ・カスバート)を守ろうとコールマンを撃つ。
ここのコールマンとボブの掛け合いがブラックで地味に笑える。
この日からボブ会社を襲う悲劇を食い止めたヒーローとして扱われる。
みんな一様に彼を賞賛し称える。
ただその中でヴァネッサだけが何故助けたと罵る。
首から下が動かない体では何も出来やしない・・・
ヴァネッサは実は女を武器に成り上がる人間だった為全社員にいい顔をしていた。
それをボブは自分にも優しくしてくれる天使のような女性と勘違いしていただけ。
だから彼女のところには誰もお見舞いにこない。
結局ヴァネッサの笑顔に騙されているのはボブだけで他の社員は彼女の裏の顔に気づいていたんだろうね。
ヴァネッサとの甘い日々
最初こそヴァネッサは全身が動かない事を嘆き自ら命を断つ手伝いをボブに持ちかける。
責任を感じたボブはそれを承諾し最高級のレストランに行き閉店まで好き放題心の内をさらけ出したりパブで一緒にカラオケしたりする。
そしていよいよその時が来て無人の地下鉄で列車が来るのに合わせて車いすを手放すボブ。
だがあわやという瞬間にボブはまたもヴァネッサを助けてしまう。
当然怒鳴り散らすヴァネッサだがその絶望的な叫びからか小指が動くようになる。
ヴァネッサは動く小指で病院の可動式ベッドを使ってボブとロマンチックなキスを交わす。
ただヴァネッサは首から下が動かないわけだから当然下の世話もしなきゃいけない。
映画内での描写は少ないけどレストランでの食事での満腹感がないことやパブでのカラオケの一件からも想像できるだろう。
それでも心の救いだったヴァネッサからのキスはボブを大きく変えたんだろう。
人生がバラ色になってあらゆることがいい方向に回り出す。
誰でも生きてれば一度や二度は経験するであろう幸せの絶頂期。
今まで幸せとは無縁そうだったボブなだけに心を締め付けられるような感覚になるんだよね。
どうかこのまま幸せになってくれぇええって。
甘い夢の終わり
ヴァネッサとボブの甘い生活も社長のせいで壊れてくことになる。
ヴァネッサと社長は不倫関係でそこに愛はないとヴァネッサは言うが・・・
社長に「お前はヴァネッサのスプーンでしかないんだよ」、「彼女の体が動くようになればお前なんか見向きもされない」と言われたこともありヴァネッサを信用出来ないボブは自分を愛しているのかと聞く。
しかしすぐには答えられないヴァネッサ。
思わず飛び出してしまうボブ・・・
ここのヴァネッサの気持ちは痛いほど分かるんですよね。
今まで全く男や愛を信じてこなかったヴァネッサは初めて心の内を明かせる相手を見つけたわけです。
でもそんな自分に戸惑いを感じてるし初めて心の中をさらけ出せたボブにだけは嘘をつきたくなかった。
だから上っ面だけの「愛してる」なんて言いたくなかったんだろうね。
今まで何度も男を利用するために愛を囁くだなんてお手のものだったはず。
それをしなかったのは本当にボブを愛してるから・・・と絶対に言い切れないのがまた切ない。
正直ヴァネッサは自分の気持ちに自信が持てなかったんだろうなあ。
ボブもここで「何があっても僕は君を愛してる」と言えるような男だったらと思うけどそれが出来る男ならそもそも・・・ね。
病人と弱者(ネタバレ注意!)
自暴自棄になったボブは会社に舞い戻る。
そこで彼がみたものはコールマンがあの日銃を乱射した時と同じ状況。
銃を持っている奴がいると叫ぶ同僚を尻目にヴァネッサが立っているのに気づく。
ヴァネッサの表情は笑顔と恐怖が交差している。
そしてボブは右手に銃を握りしめているのに気づき何かを悟ったように自分のこめかみにあて・・・
えぇ、そうです。
この映画はいわゆる妄想オチです。
ヴァネッサの全身不随もボブが英雄になるのも全て妄想。
病人はボブでした。
最後の「病人と弱者は大衆を救うための犠牲になる」というセリフが心に刺さります。
小ネタや考察
まずボブ・マコーネルという名前が若干ネタバレでしたね。
最初のほうで銃を乱射した男の名前がコールマン。
マコーネルを英語にするとMaconel 。
これを並べ替えると・・・Coleman。
感の良い人は即効で気づいちゃうかもしれませんね。
まあ、それ以外でも序盤の出来過ぎな展開でん?って思う人も多いと思いますけどね。
ちなみに僕は終盤まで気づきませんでした(^^;)
精神科医のモールスはボブにとっての現実が具現化した存在でしょうかね。
他の人間はボブの痛いところにはあまり突っ込まないけどモールスだけは現実のように付いて回ってきて鋭いことを指摘してきます。
ボブも彼をはなっから不自然なくらいさけるし・・・
だから彼だけは実在してないんじゃないかと思います。
最後のほうでモールスに問いつめられて箱が増殖してたのにモールスがノーツッコミなのもおかしいです。
またちょくちょく登場するチープなCGやしゃべる金魚はボブの妄想グセを表現してるのでしょう。
病人の見えてる様子を映像かしたみたいなね。
まとめ
この映画ジャンル指定が難しいです。
サスペンスなのか社会風刺ドラマかコメディか。
どれもしっくりこないんですよね。
でも僕はこの映画が大好きです。
妄想オチや夢オチって基本的に嫌いなんですけどこれは許せてしまいます。
それは結果が妄想だろうが夢だろうが重要じゃない。
社会の弱者か病人かはたまたその両方か・・・
いずれにせよボブはそれらに分類されてしまう人間です。
そんな人間が現実で味わうのは絶望と苦悩だらけ。
きっと強い人間は彼のよう人をみて「強くなれないから駄目なんだ」と思うでしょう。
えぇ、そうです、それが真理であり現実だと思います。
だからこの映画では思いっきりバッドエンドで終わってます。
でも弱くても病気でもボブは最後に行動を起こしました。
ラストのボブの行動は観る人によって色んな解釈の仕方があると思いますが・・・
僕はヴァネッサを含め周りの人間を守るためにボブは「大衆を救うための犠牲になった」のだと信じたいですね。
無意味なスローほんと好き
オチがいまいちだけど道中は結構楽しめる。
クリスチャン・スレイターといえばこの作品が有名ですよね。
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