グッドナイト・マミー 感想 ネタバレあり&なし
あらすじ
美容整形により人格まで豹変した母親の正体を疑う双子の少年が引き起こす惨劇を描いたオーストリア製サイコスリラー。2014年のシッチェス・カタロニア国際映画祭ほか、世界各地の映画祭で話題となり、米アカデミー外国語映画賞にエントリーするオーストリア代表作品にも選出された。森と畑に囲まれた田舎の一軒家で母親の帰りを待つ9歳の双子の兄弟。ところが、帰ってきた母親は顔の整形手術を受けており、頭部が包帯でぐるぐる巻きになっていた。さらに性格まで別人のように冷たくなってしまい、兄弟は本当に自分たちの母親なのか疑いを抱くように。そして正体を暴くべく彼女を試しはじめるが、その行為は次第にエスカレートしていく。「パラダイス」3部作などで知られる鬼才ウルリッヒ・ザイドル監督の妻で同シリーズの脚本にも参加したベロニカ・フランツと、彼女と2度目のタッグとなるセベリン・フィアラが共同監督を務めた。母親役に「ザ・ファイト 拳に込めたプライド」のスザンネ・ベスト。ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち 2016」上映作品。(映画.comより)
予告
60点
若干の予告詐欺あり!
観る前に期待値を上げすぎたのか個人的にはイマイチに感じました。
ただ悪かったかと言われるとそんなこともなく、人によっては楽しめるんじゃないかと思います。
予告を見てもわかるように登場人物が少なくとっても静かな映画です。
基本的に登場するのは母ちゃんと息子二人だけど、息子二人は似過ぎて見分けつきません。
まあ、見分けつかなくてもそんなに問題ないんですけどね。
日常に潜む違和感と狂気
基本的に登場人物は母ちゃんとエリアスとルーカスの三人だけ。
全編通してほどんどが、だだっ広い家の中でたまに畑や森の中に行ったりするくらい。
そしてスクリーンに写るのはひたすら遊ぶ子供達と顔が包帯ぐるぐる巻きの母ちゃん。
でもパッとみ何気ない日常でも、所々歪で不安や恐怖をはらんだ言動や行動が多い。
特に前半は整形した母ちゃんの少し異常ともとれる行動が多いため、観る側は彼女の思考を探りたくなる、整形による精神への影響から来るものなのか、はたまた別人が成りすましているのか・・・
常識的ではないけど異常すぎる!とまでいかない、せいぜいちょっと神経質でヒステリックなお母さんってくらい。
だから観る側はその違和感に非常にやきもさせられる。
ホラーならもっと怖がらせてほしいし、サイコ系ならもっとイかれている所がみたいのにそのどちらも絶妙に外してくる。
中盤からの逆転要素が更に謎を深める
前半は子供達にヒステリックで厳しい母ちゃんだが、中盤からはどうにも子供達の様子がおかしくなってくる。
子供達は自分達の知っている母との違いを感じ、子供なりに原因究明しようと様々な方法で調べ始める。
最終的に子供達は一つの結論に達するのだけど、そこからは子供達が異常に感じ始めるんだよね。
最初は微笑ましいっちゃ微笑ましい程度のものが、どんどんエスカレートしていっていくら子供でも「え?それは流石に度を越してない?(;゚д゚)」って思うシーンがチラホラ出てくる。
徐々に前半の「様子のおかしい母におびえる子供達」はいなくなり、母親に疑心と敵対心を持ち暴走し始めていく。
子供たちが反撃に出るのは予告で分かっていたけど、「ホーム・アローン」的なのを予想していただけにこの展開は意表を突かれた。
驚愕の結末と真相(ネタバレ注意)
後半で暴走した子供たちは母ちゃんをベッドに縛りつけ「本物の母さんをどこへやった?」と拷問を加えながら聞いてくる。
この頃には母ちゃんも包帯をとっており、その美しい顔と共にヒステリックや異常さなど綺麗さっぱりなくなっているのだった。
だからもう完全に子供たちがサイコパスにしか見えない。
そして物語の真相は母ちゃんのたった一言で解き明かされる。
ルーカスはすでに死んでいて存在しない。
話を整理すると恐らくこういう事だと思う。
「一家四人でドライブか何かに出かけ大きな事故を起こしてしまい、結果ルーカスを亡くし自らの顔も大きく損傷してしまう(ルーカスの死について指摘があったので下の方にちょっと追記しておきました)
子を亡くし女の命である顔にも傷がつき心身ともにやられてしまい、ヒステリックで自暴自棄になり、夫との間に亀裂が生じ始め離婚する事になってしまった。
だから再起を計る為に整形手術をして、美しい自分を取り戻しエリアスと共に新たな人生を歩もうとしていた。」
劇中で多くは語られないので予想でしかないが、大方こんな感じだろう。
だとすれば母ちゃんがヒステリックで神経質に見えたのもこういった経緯があるのなら納得だし、エリアスに厳しくしていたのも死んでしまった兄弟を生きているかのように扱うのをやめさせたかったのだろう。
しかしその結末は何とも悲しい。
結局エリアスへの気持ちは通じる事もなく、最後は火をかけられ整形した顔ごと焼かれてしまう。
※追記:ルーカスの死因について
コメントで指摘があったので追記をしておきます。
この映画では「ルーカスの死因」と「ママの整形」の2つが物語の軸でありながら何の説明もなされていません。
ただ「エリアスがルーカスの死に責任感を抱いている」と「顔全体を整形するほどの大事故」という2つがヒントにはなってます。
だからある程度は妄想で保管するしかないのでしょう。
上記では深く考えずに「エリアスのいたずらで交通事故にでもあったんだろ~」くらいにしか思いませんでしたが、今思えば「エリアスのいたずらで火事をおこしルーカスが焼死してママも顔全体に大やけどを負った」という方がラストへの皮肉が効いてて面白いかもしれませんね。
まとめ
見事に騙されました。
もう予告の時点でサイコホラーか心霊物としてしか観ようとしていなかったので劇中でばら撒かれている沢山の伏線に気づけませんでした。
でも違和感は感じていたんですよ、ただ見た目がそっくりの兄弟という設定がいい感じの目くらましになってましたね。
本当いい意味でやられましたわ(;´∀`)
あ、でも予告の騙し方は納得いきませんね。
Gを母ちゃんの口の中に侵入させて母ちゃんがボリボリするシーンだけど・・・
実は口の中に入れるシーンとボリボリするシーンが別のシーンで繋ぎ合わせていただけってのは詐欺なんじゃないんですかね?
まあ、そりゃGを食する所なんて見たくはないんだけどああいう予告詐欺は何だか納得いかないなあ(´・ω・`)
こういったどんでん返し系の映画っていかにラストのオチまで引っ張るかが課題だと思うんですよ。
でもそこにたどり着くまでに果たしてどれほどの人がガキんちょの日常を飽きずに見ていられるのか・・・
確かに伏線のはりかたは秀逸だし、子供もいい演技をしています。
しかも上映時間も90分と抑え目にしているので、良く計算はされているんだけどそれでも長く感じてしまいました。
ただ感のいい人なんかは結構最初の方で気づいちゃうでしょうね、そうなったら後は答え合わせというか消化試合になっちゃうのではないでしょうか。
まあ、人を選ぶ映画だけど個人的にはそこそこ楽しめました。
あ、のりたまは途中で寝てました(;´д`)
前半はちょっとかったるいけどラストのオチが大好き!かなり考察しがいのある映画です。
僕の感想はこんな感じです(長文注意)→パラドクス ネタバレ考察あり
ラストに「実は誰々は死んでいた」ってなる映画何作目だよ
期待して観て損した
確かにこーいうのは落とし所でガッカリさせられる作品多いですよね。
でもつい予告で釣られて観ちゃうんですよね(^^;)
ルーカスの死について。
ドライブの事故の伏線はなかったですよね?それに、それならエリアスが気にやむ必要ないですし。
おそらく、冒頭の湖のシーンで溺死かなんかしたのではないでしょうか?
ドライブ事故の伏線はないですね、完全に僕の妄想です(^^;)
ルーカスの死は劇中では明言されていないのである程度妄想で保管する必要があります。
でもヒントが「ママの整形」「エリアスがルーカスの死に責任を感じている」という二点しかないんですよね。
だから湖で溺死って可能性も十分あると思いますよ~。
やたら詰めが甘くてモヤモヤする作品でした。まず結構の人が早い段階で「ああ、双子のどっちか実在してないんだろうな」って何となく気付くと思うんですよ。片方だけに朝食や会話など。あと世にも図々しい赤十字襲来などでも
でもいくつかある矛盾のせいで確定できないっていう、ある意味チートが残念で仕方ない
例えば配達人が冷凍ピザを届けに来たシーン
1、片方Aがママを呼び行く。もう片方Bが配達人を地下に案内する
2、ママが起きないのでAは配達人たちの様子を見に降りて行く
3、Aが地下におりて配達人と挨拶&軽い会話
つまりAとBどちらも生きてないと不可能なシーンなのに平然と進行してるという意味不明さ
他にも、ママが実在していないはずのルーカスが構えるボウガン対策のためにシーツを投げつけるシーンも変だったり
とにかく、もうちょっと練って欲しかったですねぇ。ママのヤバい人感はなかなかでしたし双子も良かったのに残念な作品になったのは残念。あとパパどこいった?ママ結局その傷なんやったン?など伏線回収しなさすぎがモヤモヤの原因になってるかも?
こんばんは!
惜しい作品ですよね~。
ただ僕は結構後半まで双子の片方がいないっていうのには気づけなかったんですけどね(^^;)
だいぶ前に観た作品なので流石に覚えていませんが、たしかにそう言った矛盾はあったような・・・。
雰囲気とか画的に優れているだけに、途中で色々とおざなりになっているのがもったいないですね。
一応、母親の傷は事故にあってパパは離婚した・・・っぽく解釈できるけれども、やっぱり視聴者の判断に委ねる形なのもモヤッとしてしまうかもしれませんね。