悪の教典 ネタバレ 感想
あらすじ
目的のためならば殺人もいとわない教師の姿を描いた貴志祐介の問題作を、「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」「十三人の刺客」の三池崇史監督が映画化。伊藤英明が主演し、自身初の悪役に挑んだ。生徒から慕われ、学校やPTAからの評価も高い高校教師・蓮実聖司は、教師の鑑ともいうべき表向きの顔とは別に、他人への共感能力をまったく持ち合わせていない、生まれながらのサイコパス(反社会性人格障害)という隠された顔があった。いじめ、モンスターペアレンツ、セクハラ、淫行など問題だらけの学校で、自らの目的を達するため、蓮実は躊躇なく殺人を繰り返していく。しかしある日、ほんのささいなミスを犯してしまった蓮実は、それを隠匿するためクラスの生徒全員を惨殺することを決める。共演に二階堂ふみ、染谷将太、林遣都、山田孝之ら。(映画.comより)
予告
90点
素晴らしい映画でした(´∀`)
学生に殺戮とくれば真っ先に「バトルロワイヤル」を思い出すだろう。
どちらも唐突にわけもわからず命のやり取りを強制させられるのは同じだが「悪の教典」はいわゆるサイコパスにやられまくる生徒の構図だ。
個人的にはサイコパスに襲われる系のパニックホラーは好きだが胸糞エンドはあまり好きになれない。
だからイーライ・ロス監督の映画はどれもスゲー好きなんだけどラストはどれも嫌い(伝わる人には伝わる)
でも今回は小説を先に読んでいてラストの落ちは知っているので安心してみれた( ・`ー・´)
伊藤英明と山田孝之が最高
小説のハスミンはサイコパスの自覚があり、共感能力は欠けてるもののどこか人間味は残っていた。
もちろん平気であくどい事はするのだが、心理描写が綿密にされてるだけに底知れない恐怖よりも「捕まらないようにうまくやれ~」と共犯者のような親近感を感じて応援してしまった。
だが映画のハスミンはマシーンの如く目的遂行の為にあらゆる手段を淡々と尽くしていく。
他人への共感などミリ単位もなく、ただただ欲望のままに行動する。
そんなハスミンは常にイケメンスマイルを放ちつつもその目の奥はどす黒く汚れている。
心理描写などないに等しいので共感する事もないから、シンプルにハスミンの「悪の行い」を視聴者としての怖いものみたさとして楽しめる。
こういった映画で罪の意識だの人間らしさだのは不純物でしかない。
前半でも後半でも山田孝之はちょい役なのにインパクト抜群だ。
とんでもない変態駄目教師なのに無駄にドラムが上手かったり、終盤でハスミンにパンツ投げつけられて打たれるシーンなど、この映画においてはマスコットキャラと呼んでもいいくらい憎めない可愛いヤツだ。
正直もっと出番があってもいい気はするけどまともに戦う柴原(山田孝之)はなんか違うのでやっぱりあのオチでいいかも。
基本はホラーコメディ
柴原みたいな露骨過ぎるギャグキャラは置いといて・・・
登場キャラも古典的でステレオタイプだ。
インテリで東大目指してるヤツは頭いい口だけ野郎だったり、戦闘要員のアーチェリー部の男の子なんかは一度外に脱出したのに正義感と愛でアーチェリーを手に学校へ戻る。
絶対警察呼びにいったほうがいいなんてのは野暮な突っ込みだ。
ハスミンを見破る物理教師の釣井(吹越満)や学校をサボってばかりの秀才早水(渋谷将太)など誰も彼もどっかしらなんかしらの映画で見たことある設定のやつらばかり。
そんな奴らが端っこからハスミンに追い詰められ拷問されショットガンをぶち込まれるのは非常に爽快だ(危ない発言)
学校での生徒の篭城なども突っ込み放題だ。
確かにショットガンは脅威だがあれだけの人数だ、物量作戦で何人かは逃げ切れるし倒す事も不可能じゃないはずだ。
それを座して死を待つ篭城作戦やとんでもないボンミス(窓際のロープをたらしっぱ)などはハッキリいって確信犯だろう。
三池監督から「この映画はハスミンのランボーっぷりを楽しんでね( ̄ー ̄)」という思惑を感じたよ。
不謹慎な爽快感
不謹慎で不道徳で胸糞が悪いものと言ったら俺は真っ先に「ファニー・ゲーム」を思い浮かべる。
あれは二度とみるかーヽ(`Д´)ノとなったが、この映画も似たような感じの展開ではあるが不快感はない。
何故なら生徒側に死への絶望感や生への執着感があまりないからだ。(学校でのアホな行動や生き残る気を感じさせない雑な篭城作戦など)
恐らく監督がそう撮っているからだと思うがやられる側の描写が希薄だ。
生きる目的や死ねない執念などを極力省き視聴者が生徒達に同情してしまわないようにする。
それに銜えてハスミンをカリスマチックに撮っているのである種ダークヒーローのような存在だ。
だがいくらカリスマでも悪者が上手く行き過ぎては面白くない。
だから最後にきちんと生き残りを用意してハスミンを断罪するのであとくされがなくなる。
まとめ
のりたまと見た映画だけどアクションやホラーが苦手なのりたまもとても楽しめた。
伊藤英明のサイコパス演技がのりたまにはドストライクだったようだ。
ホラーのようなコメディなのでよっぽど血が苦手でもない限りは見れるんじゃないかな。
一部結構なグロがあるがまーそこは目をつぶっててもなんらストーリー進行に問題ない。
個人的には東大目指してる彼がとってもウザくて素敵だった。
断末魔の「東大・・・」にたいしてハスミンの「to die?」は腹抱えて笑った。
ただ某AKBの人のように見る人によってはコメディではなく不謹慎で胸糞悪く感じるのである程度は人を選ぶのだろう。
いいところが多い映画だが犬の描写は犬好きには辛かった・・・
あとはカラスのくだりは小説でも思ったけどいらんかったんじゃ?
あれのせいで安っぽく見えてしまうんだよね。
最後のハスミンの精神異常者を演じるオチが素晴らしかっただけに蛇足に思えてしょうがない。
三池監督から原作者へのラブコールがあったので是非続編をお願いしたい・・・が2016年現在でそれがないとなるともうないんだろうなあ。無念
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