ジョージ・A・ロメロのゾンビ作品を振り返る

ジョージ・A・ロメロ監督が2017年7月16日に肺がんによって亡くなりました。

と言っても僕たちに出来ることなんて、相も変わらず映画を「観ること」と「語ること」です。

なのでせっかくブログを持っているんだし、ロメロ監督作品について語っていこうかなと思います。

ロメロ監督作品との出会い

バイオ・ハザード2

(僕が持っていたのはPS版の上記のパッケージ。)

僕がロメロ監督作品と初めて出会ったのは「ゾンビ」です。

当時中学生だった僕は映画の虫で毎週お小遣いを叩いては映画を限界まで(10本)借りて週末に観るのが楽しみの1つだったんです。

そして映画と同じくらい好きなものがあってそれがゲームでした。

今となっては関連性の強い2つのエンタメですけど、当時はそこまで関連性の強い要素ではなかったんですよね。でもこの2つが僕をロメロ監督の「ゾンビ」へとつなげたのです。

なんでかというとですね、実はその時僕はゲームのバイオハザード2にドハマリしてまして、どれくらいハマっていたかというと・・・ファミ通にタイムアタックのビデオを送るくらいにハマってまたした

そんなバイオハザード2の元ネタが「ゾンビ」であり、しかもバイオハザード2のテレビCMの製作者がロメロ監督とあってはま~借りないわけがないですよね。

そして行きつけのビデオレンタル屋に速攻で行き借りてきたのが「ゾンビ 完全版」なのでした。

ロメロ監督の名作『ゾンビ』でカップヌードルが食えなくなる

いや~、初めてゾンビ映画を観た衝撃はトンデモなかったですよ。

バイオハザード2というゲームは当時としてはポリゴンレベルは高いものの、それなりにホラーを観てきた僕には恐怖もへったくれもなかったんです。

むしろ、ゾンビをロケランで蹴散らすの楽しいぜ!ヒャッハー!くらいにしか思っていませんでした。

そんな慢心しきっていた少年にロメロ監督のゾンビは本当の恐怖とグロと言うものを叩きつけたのです。

観た後はしばらくカップラーメンとソーセージ食えなかったですからね~。

当時は「こんなグロ映画借りるんじゃなかった」とか「オレもう二度とカップラーメンとソーセージ食えないんかな・・・」なんて後悔したものです。

幻の映画「バイオハザード」が観たかった

(当時はこのCMを観て「バイオの映画を作るのならロメロしかおらん」と思ってました。)

上でちょいとバイオ2のテレビCMをロメロ監督が撮っていたとあるんですけども、実はロメロ監督で映画化も企画されていたのです。

でも大人の事情で折り合いがつかなくなり、頓挫してしまったんですよね。

そんで、そのテレビCMの出来がま~本当に素晴らしくて・・・当時の僕は「これこのまま映画にしてくんないかな~」と心底思ってたんですよ。

まあ、子供が思うことは大人も思ってたりするもので、当時のカプコンも映画化という壮大な夢を持っていたんでしょうね~。

だけども結局これは幻のまま終わってしまいました。

結局バイオシリーズ一の名作と人気の高いバイオハザード2の映画化は未だにならず、幻のままなんですよね。

ロメロ監督のゾンビ作品にのめり込む

あんだけ「もう観ない」と後悔していたのに、一月もたたない内にゾンビの前後作品であるナイト・オブ・ザ・リビングデッドとデイ・オブ・ザ・デッド(死霊のえじき)を借りてました。

何故あんだけトラウマ化していた作品の続きを観てしまうのか?

当時は気づいていなかったけども僕はすでにロメロ作品の恐怖とグロとそして好奇心を呼び起こす力に引き寄せられていたんですよね~。

結論として、どちらの作品もゾンビほどの衝撃やトラウマはないものの、ロメロ作品の魅力の虜になるのには十分なものでした。

ゾンビ作品が様々な媒体でオオウケするゾンビ黄金時代

異骸-THE PLAY DEAD/ALIVE-(1) (RYU COMICS)

(ゾンビなのに人に戻ったりするちょっと特殊なゾンビもの漫画、オススメだよ!)

ここからちょびっとロメロ監督のお話から離れます。

カプコンのバイオブームが火付け役になりあらゆるメディアでゾンビものが受けるようになりました。

映画ではコメディ方面で「ショーン・オブ・ザ・デッド」や「ゾンビランド」などのゾンビコメディが流行ったり、走るゾンビ「ドーン・オブ・ザ・デッド」のリメイクなどが誕生しましたね。

漫画ではエロ可愛さで音速アニメ化した「HOTD学園黙示録」や最近実写映画化もされた「アイアムアヒーロー」などが流行りました。

CGアニメでカプコンによる映画化など、とにかくゾンビ好きにはパラダイスな時代がやってきたのです。

思えばこの時代は「とりあえずゾンビならなんでもいい」って思えるくらいにゾンビの虜だったなあ。

黄金時代でも変わらないゾンビ作品をとるロメロ監督

ランド・オブ・ザ・デッド [Blu-ray]

(首なしゾンビかと思いきや、皮1枚で繋がっててクルんって回って噛み付いてくるゾンビのインパクが半端ない。後ラストの晩餐会も良かった)

そんな中でゾンビの大御所であるロメロ監督作品がまたも世に出始めたわけです。

それが「ランド・オブ・ザ・デッド」、「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」、「サバイバル・オブ・ザ・デッド」ですね。

どれもロメロ監督らしい発想と作風がズッシリ詰まっているわけ作品でした。

だけどもこれらの作品はすでに「時代遅れ」でした、少なくとも当時の僕にとっては。

ロメロ監督の変わらぬメッセージ「人間と社会への批判」をゾンビ映画に乗せてくるそのスタンスにもう僕はついていけなかったのです。

映画は娯楽であり、そこに監督のメッセージをのせるのはスパイスになるけど説教臭くなっては元も子もない・・・と映画を観る側としてもある種のスタンスが出来上がってしまっていたのです。

だから僕には説教臭くてかなわん!という思いがあって、どうしてもこの3作品は好きになれなかったんです。

あ、でもランド・オブ・ザ・デッドはわりと好きですけどね。

変わらないロメロ監督のゾンビ映画の魅力

文句をいいつつもロメロ監督のゾンビ映画を観てしまうのはなぜか?

それは「説教臭いのはウンザリだし、映像も古臭いんだけど・・・だがそれもいい」と思うからです。

まあ、説教臭いのはぶっちゃけそんな好きではないんだけども、ロメロゾンビに漂うビデオ世代のような古臭さってくせになるんですよね。

その古臭さからくる独特の恐怖は他のゾンビ映画では決して味わえません。

走らないゾンビなんて本来はどんくさいだけの的なんですけど、ロメロゾンビには一体一体に「重さ」があるんですよね。

ロメロ監督の批判が聞けないのは寂しくなる

最初はドーン・オブ・ザ・デッドのリメイクでしたっけ、ロメロ監督による「あんなもんはゾンビじゃない!」という怒りのお声を聞いたのは。

当時は「ゾンビの生みの親だからと言って、古い考えでゾンビものを語られたくないわ!走るゾンビだっけ面白いやんか!」なんて勝手に反論してたものですよ。

でも、そんなロメロ監督によるゾンビ映画の批判や批評がもう聞けないとなると寂しいもんです。

映画には必ず好みがあるし、観る側、作る側となれば事情が全く異なってくるわけで、更に意見は分裂していきますよね。

でもその意見そのものが大事なんですよ、嫌いという意見があるから好きという意見との衝突があるわけで、、、どちらかをなくしてしまえば衝突することはもうないんです。

ケンカのない世界は平穏かもしれないけども、ケンカ相手を失くすのもそれはそれで寂しいもんですよね。

え~と、自分でも何言ってるかよくわからんくなってきたのでまとめると・・・

新時代のゾンビ映画を評価してくれるロメロ監督がもういないのが寂しいって事です、おしまい。

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4 Responses to “ジョージ・A・ロメロのゾンビ作品を振り返る”

  1. もぶ より:

    ゆでたまさんお久しぶりです。
    ここ最近チェックをサボっていたのですが、例のニュースを聞いて飛んできてみればヴァンダムやら賭ケグルイやら興味を惹かれる記事が他に…

    ロメロを一時期は信奉し、でも時が流れていくにつれて段々心が離れてしまったことの証明ですかね。ランド~以降の作品がいまいち冴えなかったというのもありますし。

    とはいえ連日のように伝えられる有名人の訃報にすっかり慣らされてしまった昨今、ビル・パクストン以来に心を揺さぶられたニュースでもあるのですけど。

    ロメロとの出会いから一連の流れが相変わらず他人事とは思えなくて笑えます。
    二度とは見ないだろうなと思いつつ一月後に何故かまた借りていた体験も同じです。
    不思議な中毒症状の始まりというか、特定の人間の心に妙なしこりを植え付けていく作品なんですねゾンビは。

    時代についていけてないなと思いつつ、また新作で盛り返してくれることを秘かに期待していたのですが…最近音沙汰ないなと思ったらこんなことになっていたとは知りませんでした。

    追悼の意を込めて週末に死霊のえじきを観賞することに決めました。クラシックタイプのゾンビ映画では一番の傑作だと思います。

    • ゆでたま より:

      もぶさんお久しぶりです。
      ブログの更新が不定期なので、たま~にチェックしてもらるだけでも嬉しい限りです。
      最近は映画を観ても感想を書く気にならない映画が多く、逆に漫画はスマホで鬼のように読んでます。
      なのでしばらくは漫画関連の記事が増えるかもしれません(^^;)

      ロメロ監督はロメロならではの唯一無二のゾンビワールドを展開できる人だっただけに、観る側のハードルもどんどん上がっていってしまうというのもありますよね。
      確かに・・・連日の有名人の訃報に慣れてしまっているかもしれません。
      しかし、アントン・イェルチンを境に連鎖するかのように訃報が増えてるような。。。

      相変わらず、もぶさんとは映画の趣味趣向や出会い方が似てるんですね~。
      映画を肴にお酒飲んだら30時間くらいぶっ続けで語れそうです、いやむしろ語りたい。
      ゾンビという恐怖を体現したクリーチャーには、同時に好奇心みたいな言葉には表せない魔力を秘めてますよね。

      死霊のえじきいいですね、バブと博士の関係にほろっと来たものです。
      全然関係ないけれども「ゾンビーノ」って映画は何となくバブのスピンオフに見えるような気がしなくもないです。
      ジャンルは全然違うんですけどね。

  2. 中村 より:

    こんばんは中村です。

    小林麻央さんが同じく癌で亡くなってからまだ日も浅い中、意外なところからの訃報で驚きですが、ロメロといえばそれこそ映画を観る人なら知らない人はいない程知名度を上げた人ですから、本人も満足だったろうと思いたいですね。

    私はあまりゾンビ映画は観ないですが、かの三部作においては今でもたまに観ることがあります。

    皆さんも言っていることですが、彼の映画はゾンビとの戦いの中に社会風刺、人間の脆弱さといったものを盛り込むことで他とは一味も二味も違った良さを引き出し、やはりそれがこれまで多くの人に愛されてきた理由の一つなのでしょう。

    下のもぶさんはデイ・オブ・ザ・デッドが1番お好きな様ですが、私はナイト・オブ・ザ・リビングデッドなので、これで3人綺麗に分かれましたね。

    そう言えば、ドーン・オブ・ザ・デッドリメイク版の監督であるザック・スナイダーですが、彼もまた20歳の娘さんを自殺で亡くされたばかりですよね…。
    我が子を突然亡くされた心情は子を持たぬ私ではおおよそ測り知れぬものがあるかと思います。
    一度は戻ってきたものの、その後ジャスティス・リーグの監督を降板し、活動を休止している様ですね。監督としてはあまり好きではありませんが、彼に期待している人も少なくないはずですし、折角大きなプロジェクトも任されるようになっているので、またいつか戻って来てもらいたいと思っています。

    • ゆでたま より:

      中村さんこんばんは。

      そうですね~。
      ロメロ監督作品には彼にしか出せない味があったので、心酔する人の気持もなとなく分かります。
      なんか・・・三作の選び方でちょっとした「映画の好み診断」ができそうな気がしますね。
      ナイト好きは人間の本質を観るのが好きな人、デイは人とゾンビの関係性を楽しみたい人、ゾンビはエンタメ重視な人・・・みたいな感じで。

      ザック・スナイダー監督の娘さんのお話は僕もネットで知りました。
      ジャスティス・リーグという大きなプロジェクトは映画監督としても名誉であり、ファンからの期待も大きく、きっとやりきりたかったでしょうね。
      僕も正直な話ザック・スナイダー監督の作風は少し苦手な部分があります。
      それでもザック・スナイダー監督作品を全て観てるのは、やっぱりいいと思える所も沢山あるわけでして・・・僕もぜひまた帰ってきて映画を撮って欲しいですね。

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